【重工業業界徹底比較】大手3社それぞれの強み・弱みと将来性は?【企業分析】

3大重工業メーカー3社を徹底比較します.

それぞれの詳細はこちらから.
三菱重工業
IHI
川崎重工業

こちらで書いた内容を簡易的にまとめて,各社の比較を行います.
以下を先に読んで,気になった企業のページを見に行くと良いと思います.

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財務諸表

売上高

1位:三菱重工業.3兆8752億円
2位:IHI.1兆5903億円
3位:川崎重工業.1兆5742億円

売上高は三菱重工業の圧勝で,他2社の2倍以上の規模があります.また,他2社の売上高規模は同程度で推移しています.
全社ともに売上高は緩やかな増加傾向にあります.

営業利益

1位:三菱重工業.1265億円(3.2%)
2位:IHI.723億円(4.5%)
3位:川崎重工業.459億円(3.0%)

営業利益は売上高と一緒の順位となりました.
三菱重工業はMRJが現状では一切利益を出しておらず,中核の火力事業が世界的な需要減で利益が出にくい体質になっています.MRJが稼働し始めれば安定して5%は超えてくると思われます.
IHIは近年ようやく5%に届かないレベルで推移するようになりました.2003,6,7で営業赤字となっており,努力の成果が伺えます.航空宇宙事業で他部門の赤字を何とかカバーしています.
川崎重工業は2013~2015において営業利益が5%を超えていたものの,2016,7は船舶事業やLNGタンクプロジェクトで損失を計上したために低い営業利益となっています.一時的な損失は全て出たとして,川崎重工業の株価は急上昇しています.

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それぞれの事業領域.競合関係

  • 火力発電:三菱重工がトップ.全種類のガスタービンを製造.特に大型が得意で世界と伍している.川崎重工業は小型が得意とされている.IHIはやってはいるものの規模は小さい.
  • 航空宇宙:民間旅客機を全て設計しているのは三菱重工業のMRJのみ.IHIは航空エンジン国内シェア70%でトップで,航空エンジンに関しては他2社は下請けみたいなもの.川崎重工業は旅客機や航空エンジンの一部を取り扱いしているのみ.全社ともボーイングと取引がある.ロケットは三菱重工業,IHI.三菱重工業が統括をしていることが多い.
  • 防衛:三菱重工業1位,川崎重工業2位,(IHI18位).三菱重工業と川崎重工業は潜水艦で競合している.三菱重工業とIHI(ジャパンマリンユナイテッド)は艦艇で競合している.川崎重工業は大型の輸送機や哨戒機に強み.三菱重工業は戦闘機(F-2),戦車,ミサイル,装備品に強み.
  • ターボチャージャー:三菱重工,IHI.ともに世界シェアが20%を超えている.
  • 物流機器:三菱重工業,IHI.三菱重工業が国内第3位.IHIはピッキングロボットに注力.
  • 工作機械:三菱重工のみ.
  • 産業ロボット,2輪車:川崎重工業のみ
  • 橋梁・水門など都市開発系:IHIのみ
  • 電車:三菱重工業と川崎重工業.事業規模は同程度です.川崎重工業が新幹線を手掛けており,高速鉄道に強み.三菱重工業は全自動無人運転車両など都市部を想定した電車に強み.
  • 船舶:規模で言えば,IHI(ジャパンマリンユナイテッド),三菱重工業,川崎重工業の順番です.いずれも高付加価値船LNG・LPGに注力していく模様.
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それぞれの強み

三菱重工業

  • 火力発電システム事業.国内トップであり,2018年上半期においてガスタービン世界シェア1位を獲得しています.
  • 防衛産業でシェア1位
  • MRJ.日本で唯一民間旅客機の開発を行っています.
  • ターボチャージャーのシェア25%

IHI

  • 航空エンジン国内シェア70%,及び高い営業利益率(10%)
  • ターボチャージャー世界シェア20%
  • LNGタンク世界シェア21%,超低温LNG BOGレシプロ圧縮機世界シェア60%
  • タワーパーキングや橋梁など巨大構造物に強み

川崎重工業

  • 航空宇宙カンパニー,ガスタービン・機械カンパニー,精密機械カンパニーの存在
  • 防衛産業でシェア2位.
  • 全事業が安定している.経営がうまいのか全体的に高い営業利益を稼いでいます.
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それぞれの弱み

三菱重工業

  • 世界シェア1位の商品がほとんどない
  • 不祥事が多い.造船での巨大損失やMRJの納期延期,日立との火力発電の損失の押し付け合いなど,最近はあまり良いニュースがありません.

IHI

  • 航空・宇宙事業以外での営業利益の低さ・不安定さ

川崎重工業

  • 世界シェアトップの品が殆どない
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将来性

三菱重工業

今後5年は火力発電事業の不況に伴って,横ばいの成長をしていきます.その後は,MRJ導入によって究極の赤字部門がなくなり,営業利益的にはかなり健全に戻っていくと思われます.ただし,売上高に関しては火力発電事業の市場次第であり,このまま再生可能エネルギーシフトが進んでいけば,売上高を伸ばしていくことは難しくなってくるでしょう.一方で,将来的にはMRJがヒットすれば市場規模拡大に伴って航空宇宙事業が火力発電事業を抜かす可能性あり.
防衛・宇宙は一生安泰.MHPSは市場次第で危うい.三菱航空機はMRJが初導入されてからの評判次第.三菱ロジはずっと成長していく見込み.ターボは10年後からが危ない.
※三菱重工業は分社化体制をとっているので,事業の将来性を見極めることが極めて大切です.最悪売却されます.三菱重工業で働き続けたいのなら,防衛・宇宙を選択するべき.

IHI

航空・宇宙・防衛事業は航空機需要の増加に伴って確実に将来伸びる事業です.一番安泰です.
産業システム・汎用機械事業→ターボチャージャーと運搬機械の御蔭で今後は成長していける見込み.
社会基盤・海洋事業→ずっとこのままで,黒字赤字をいったりきたりするのでは
資源・エネルギー・環境→市場規模的に伸びるので,マーケティング次第.

川崎重工業

世界シェアトップの製品はなく,目立つことはあまりありませんが,効率よく稼ぐ経営を実践できており,今後も安定して収益を上げていくと思われます.中でも航空宇宙カンパニーとロボットが一番将来性があります.

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その他の情報

勤務地

三菱重工業

航空宇宙→名古屋
造船→長崎・神戸・横浜
特殊兵器→長崎
火力→神戸・高砂
プラント→横浜
などが基本です.事業ごとに調べましょう.

IHI

研究開発→技術開発本部,横浜エンジニアリングセンタ(横浜)
航空・宇宙・防衛→昭島事務所(東京昭島市),技術開発本部(横浜),相場第一・第二工場(福島),瑞穂工場(東京西多摩)
他の事業→兵庫,広島,愛知,横浜
などが基本です.事業ごとに調べましょう.

川崎重工業

技術開発本部→兵庫県明石市
工場(航空以外)→兵庫県(7つ),香川県(1つ)
工場(航空)→岐阜県(1つ),愛知県(2つ)
航空以外であれば神戸近郊

年収

  • 三菱重工業:845万円(分社化で本社比率が高まっているため高い)
  • IHI:743万円
  • 川崎重工業:706万円

まとめ

いかがだったでしょうか?
おおよその重工業業界のイメージがつかめたかと思います.個人的な意見がかなり入っているので,気になった点は人事やOBOGに質問して,納得できる会社を選びましょう.
なお,参考文献は以下のページ書いてありますので,そちらから参照してください.

より詳しく知りたい企業があればこちらからどうぞ.
三菱重工業
IHI
川崎重工業

重工業以外の企業はこちらから.
www.atoq.tokyo

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