3大メガバンクを徹底比較します.
詳細はこちらから.
MUFG(三菱UFJ銀行)
三井住友FG(三井純友銀行)
みずほFG(みずほ銀行)
こちらで書いた内容を簡易的にまとめて,各社の比較を行います.
以下を先に読んで,気になった企業のページを見に行くと良いと思います.
なお,連結業務粗利益,連結業務純益,純利益,および連結業務粗利益の構成要素の単語が分からない方はこちらの記事を先に見ていただくと分かりやすいと思います.
銀行の経営指標の見方.業務粗利益,業務純益,経常利益,純利益とは? – AtoQ
財務諸表
連結業務粗利益
1位:MUFG(3兆8452億円)
2位:三井住友FG(2兆9811億円)
3位:みずほFG(1兆9153億円)
連結業務純益1位はMUFGという結果になりました.恐らく皆さんの予想通りの結果となっているのではないでしょうか?粗利益,すなわち収益力はMUFG>三井住友FG>みずほFGとなっています.また,連結業務粗利益の推移は以下のようになっています.
各社とも近年は大きな変化がありませんね.低金利がより進展したために,MUFGとみずほは粗利益が緩やかに低下しています.一方で,三井住友FGは手数料ビジネスを拡大したことによって横ばいを維持しています.また,粗利益の構成比を2017年度で見てみましょう.
各社ともに似たような比率をしていますが,みずほは特定取引利益+その他業務利益の割合が大きいことが特徴です.これはみずほの社債の取り扱いが多いためです.また,各社とも資金利息は低金利の影響で稼げる対象ではないとして,手数料ビジネスを重要視していっているため,役務取引等利益+信託報酬の比率は高まりを見せています.
連結業務純益
1位:MUFG(1兆2328億円)
2位:三井住友FG(1兆2038億円)
3位:みずほFG(4578億円)
連結業務純益1位はMUFGという結果になりました.しかし思った以上に三井住友FGと拮抗しています.それだけ収益性の高いビジネスを行えているということになります.事実,三井住友FGの経費率は3大メガバンクの中で最低です.経費率推移は以下のようになっています.
三井住友FGは近年では常に経費率最低となっていますね.他2社が低金利によって経費率が上昇する中,経営の効率化によって三井住友FGのみ2017年度に再び経費率が低下に転じています.一方で,みずほFGは上昇の幅が大きく経費削減が求められています.これには次期システムへ以降や全国店舗経営の人件費が重くのしかかっていると推測できます.また,連結業務純益の推移は以下のようになっています.
MUFGとみずほFGは同様の傾向を示しており,低金利の影響で大きく落としてきていることが分かります.一方で,三井住友FGは効率化と手数料ビジネスへの転換によってなんとか横ばいにとどめていることが分かります.
純利益
1位:MUFG(9896億円)
2位:三井住友FG(7344億円)
3位:みずほFG(6083億円)
純利益もMUFGが一位という結果になりました.純利益推移は以下のようになっています.
MUFGが2000億円程度高く,三井住友FGとみずほFGが同程度で推移しています.MUFGと三井住友FGは連結業務純益でほぼ同程度であったのにここまで差がついているのは,持分法による投資損益がMUFGが2000億円程度高いためです.これは主にモルガンスタンレーに由来するものですね.
貸出金・預金
貸出金
1位:MUFG(108.3兆円)
2位:みずほFG(75.2兆円)
3位:三井住友FG(73.9兆円)
預金
1位:MUFG(177.3兆円)
2位:三井住友FG(110.2兆円)
3位:みずほFG(96.7兆円)
貸出金・預金の両方でMUFGが一位となりました.ここでようやくみずほFGが貸出金において2位に位置しましたね.傾向としては,貸出金に関しては,MUFG,みずほFGが横ばい,三井住友FGが増加傾向にあります.三井住友FGは海外での貸出金を増加させています.一方で,預金に関しては,全社とも増加傾向にあります.全社とも特に法人での伸びが顕著であり,日本の景気が良いことが示されています.内部留保内部留保と騒がれる理由が良くわかります.
それぞれの強み
MUFG(三菱UFJ銀行)
- 預金・貸出金ともに国内No.1
預金177兆円,貸出金110兆円を有しています.圧倒的な資金に裏付けされた安定的な経営基盤から容易に信用を担保することができ,今後のグローバル化を他行に比べて最も有意に進めることができます.また,海外の預金・貸出金に限ってみてもNo.1です.
- アジア(海外)に強み
MUFGはアジアに積極的に展開しており,5カ国に進出しています.連結子会社としてタイはクルンシィ(アユタヤ銀行)(国内5位),持分法適用会社としてベトナムはヴィエティンバンク(国内2位),インドネシアはバンクダナモン(国内5位),フィリピンはセキュリティバンク(国内5位)を有しています.また,ベトナムのウィエティンバンクは将来的に筆頭株主となる見込みです.訪日客の75%以上はアジア圏からであり,訪日客に一貫したサービスを提供できる強みを有しています.
- 総合力
金融サービスのすべての分野で高い地位を築いており,総合力が最も高いです.市場事業の粗利益トップ.クレジットカードトップなど.
- 時価総額世界8位(金融業界内)
三井住友FG(三井住友銀行)
- 高い収益性
2017年度の経費率は60.9%となっており,メガバンクの中で最低を記録しています.店舗の経営合理化をいち早く行ってきた成果が出てきています.
- リテール事業に強み
個人や中小企業向けのリテール事業に強みを有しています.投資までのスピードが早いと評されています.
- プロジェクトファイナンス
世界3位となる地位を築いています.プロジェクトファイナンスとは,事業の予想収益をもとに借入が行われる融資業です.通常は担保として物品や不動産を入れるが,プロジェクトファイナンスに限っては,その事業の資産(将来得るものを含む)を担保としており,企業からの物品的担保はありません.
- M&Aアドバイザリー件数No.1
- 航空機リース世界4位
みずほFG(みずほ銀行)
- 国内上場企業の7割をカバー
上場企業の7割をカバーしている手広さが強みです.また,日本のすべての都道府県に支店を有しているのはみずほだけであり,そこも特徴になります.
- シンジケートローン引受額9年連続No.1
シンジケートローンとは,日本語では協調融資と呼称され,企業の大型の資金調達ニーズに対応して,単体金融機関ではリスクが大きすぎるために,複数金融機関が同一の融資条件で行う共同融資を指します.
- 米州社債引受ランキング邦銀1位,世界10位
邦銀で唯一トップ10入りを果たしており,米国の社債需要がアジアや欧州で高まりを見せた場合に強みを発揮できます.
それぞれの弱み
MUFG(三菱UFJ銀行)
- 金利低下に伴う収益性悪化
年々経費率が増加しています.
三井住友FG(三井住友銀行)
- アジアでのプレゼンスが低い
アジアでの進出を重要経営方針として掲げているものの,MUFGに後れを取っています.インドネシアやミャンマー,香港,カンボジアに進出してはいるものの,成長が著しいタイやベトナムはMUFGが押さえています.
みずほFG(みずほ銀行)
- 経費率が高い
他行に比べて経費率がかなり高くなっています.今後,デジタル化を推進することで効率化を行っていく必要があります.
- 海外でのプレゼンスの低さ.日本偏重
他行に比べて海外での存在感が少ないです.
将来性
MUFG(三菱UFJ銀行)
つぶれることは絶対にない.また,3大メガバンクの中で最も成長するのも間違いなくMUFGです.総合力の高さを活かして,海外の強力な銀行と伍していくことを目標に今後も成長を続けていくでしょう.1番手で頑張り続けたい方向け.
三井住友FG(三井住友銀行)
潰れることは絶対にない.収益性が非常に高く,効率的な経営を行っている印象です.MUFGに追いつくとすればみずほではなく住友ではないでしょうか?国内のリテール業務で培った強みを,海外に活かしていけるかで今後の成長度合いが異なってきます.最も早くデジタライゼーションが進み,店舗が省力化される.規模ではなく収益性重視な方向け.
みずほFG(みずほ銀行)
潰れることは絶対にない.経費率が高くなっており,他のメガバンクに比べれば年収は低いと言われているものの,昔から培ってきた企業の信頼は厚く,今後も安定して様々な主幹事を行っていくと予想される.また,日本全国に張り巡らされたネットワークを通じて,日本国内の投資額が高まるにつれて増益となっていくと思われる.海外のプレゼンスは低そうなので,日本中心に成長していくのではないかと予想.日本を重視したい方向け.
勤務地
基本的にどこも同様.
総合職→全国各地
エリア総合職→大都市圏(関西・東海・首都圏)から選択.
特定職種の総合職→大都市限定
一般→大都市圏(関西・東海・首都圏)から選択.転勤無し.
年収
各有価証券報告書より.
1位:三井住友銀行:810万円
2位:三菱UFJ銀行:773万円
3位:みずほ銀行:738万円
三井住友銀行が一位となりました.人件費を抑えての高い収益性ではなく,給与をしっかり支給したうえで高い収益性を維持しているのですごいですね.社員のやる気にもつながっているでしょう.一般的に三井住友銀行と三菱UFJ銀行は同じ程度だが,みずほは少しそれに劣ると言われています.
まとめ
いかがだったでしょうか?
おおよそのメガバンクのイメージがつかめたかと思います.個人的な意見がかなり入っているので,気になった点は人事やOBOGに質問して,納得できる会社を選びましょう.
なお,参考文献は以下のページ書いてありますので,そちらから参照してください.
より詳しく知りたい企業があればこちらからどうぞ.
MUFG(三菱UFJ銀行)
三井住友FG(三井純友銀行)
みずほFG(みずほ銀行)
自動車業界徹底比較!7社それぞれの強み・弱みと将来性・自動運転への取り組みは?
電機業界徹底比較!大手8社それぞれの強み・弱みと将来性は?
JALとANAの違い!強み・弱みと将来性は?
重工業業界徹底比較!大手3社それぞれの強み・弱みと将来性は?
5大総合商社徹底比較!それぞれの強み・弱みは?
JTBとHISの違いを徹底比較!強み・弱みや将来性・方針は?
【docomo softbank au徹底比較】業績比較とそれぞれの強み・弱みは?
【飲料業界大手4社徹底比較】業績比較とそれぞれの強み・弱みは?
メガバンク以外の企業はこちらから.
www.atoq.tokyo