【DeNAの今後と将来性】任天堂提携でアプリ盛り返し&新規事業に多数乗り出し【企業分析】

株式会社ディー・エヌ・エー(Dena)についての就活分析記事になります.

ブラウザゲームによる急成長によってメガベンチャーの代名詞となったDeNAは就職先としてありなのかなしなのか見ていきましょう!

株式会社DeNAとは?

創業:1999年
売上高:1393億円
従業員数:2475人(連結)
本社:東京渋谷

いわゆる渋谷のIT企業の代名詞ですね.本社もヒカリエの中に入っており立地も完璧です.
一部の界隈からは「デナ」とも呼ばれています.

DeNAをここまで築き上げた南場智子さんは長きにわたり社長として経営されてきました.彼女の書いた本「不格好経営」も起業家を目指す人は一度は読んだことがあるはず.

DeNAの勤務地

勤務地は東京の渋谷になります.3つ渋谷にオフィスがあるのでどこに配属されるかはランダムですが,本社であればヒカリエです.

子会社の会社もヒカリエのフロア違いに入っています.渋谷は他のIT企業も多く,スタートアップ企業も多くありますよね.

DeNAの新卒採用

DeNAの新卒採用は,エンジニア職,ビジネス職,デザイナー職,ゲームクリエイターの分野で募集をしています.

元の事業がインターネットを通じた事業を行ってきたこともあり,社風や文化にエンジニアリングに理解のある風土が築かれています.

またDeNAを土台に企業する人や,転職を行ってキャリアアップをしていく人が多いのもこの会社のイメージとしてあると思います.

DeNAの給料

新卒から非常に高い給料がでると言われているDeNA.

新卒採用の時点からレベルの高い人たちが集まっているイメージがありますよね.

新卒の平均給料はおそらく450万から500万ほどの支給額となっているようです.

メガベンチャーとしての利点も豊富で,IT企業であるためのIT健康保険に加えて福利厚生も充実しています.

育児関係の福利厚生が充実しており,結婚をしたり子供を産みながらも会社へ復帰がしやすい仕組みが作られていると思われます.

DeNAの事業情報

以下のグラフは特記していない限りDeNAの「2017年度決算説明会資料」より引用しています.(エクセルは資料に基づき作製したオリジナルです.)

DeNAの売上高・営業利益推移は以下のようになっています.なお,2012年以前は日本会計基準,2013年以降は国際会計基準ですが,DeNAは事業的にそこまで大きな影響を受けないのでそのまま比較を行うことができます.
DeNAの事業情報
売上高は2013年まで鰻登りでしたが,その後は横ばいの成長を遂げています.

2013年までの成長は主にブラウザゲーム「mobage」が支えていました.私はこの時期高校生でしたが,mobageをはじめとするブラウザゲームってめっちゃ流行ってましたよね.

mobage提供の怪盗ロワイヤルなんかみんなやってました.このmobage内で流通するモバコインがDeNAの成長の源泉であり,2013年まで異常な速度で成長することを可能としました.

しかし,携帯端末がガラケからスマホに変化したことに伴って,ブラウザゲームは衰退し,アプリゲームへと遷移していきました.DeNAはこの流れに乗り遅れたために,2013年以降は減収・横ばいとなってしまっています.

横ばいとなったといっても,営業利益率は20%前後あり,この規模では十分な営業利益だと考えられます.

DeNAは以下のような事業を行っており,その構成比は以下のようになっています.
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DeNAは,ゲーム事業が圧倒的シェアを占めており,EC事業・スポーツ事業が同程度ですね.

DeNAのゲーム事業

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DeNAは国内外ゲームを取り扱っていて,アプリゲームやmobageが主です.

主要ゲームタイトルは「ファイナルファンタジーレコードキーパー」「逆転オセロニア」「Super Mario Run」「Fire Emblem Heros」「どうぶつの森 ポケットキャンプ」があります.どれかはやったことがあるのでは?他企業と連携することが多いのが特徴です.

DeNAの売上高はやはり2013年以降にブラウザゲームからアプリゲームへの変遷に伴って減少しています.それもそのはずで,国内のブラウザにおけるユーザ消費額は著しく減少しています.

アプリゲームとブラウザゲームの比率は以下のようになっています.
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もうブラウザ版はもって5年レベルでしょう.今後ゲーム事業が盛り返せるかどうかはビッグタイトルを作り上げられるかにかかっていますね.レコードキーパーがやっと94位です.*1

DeNAのEC事業 – 旅行や飛行機の予約サービス

DeNAの旅行サービスは一度は利用したことがあるのではないしょうか.DeNAトラベルという名前でサービスを運営しており,最近は「エアトリ」という名前に変更してCMなどを打って宣伝しています.

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旅行(DeNAトラベル)(売上シェア37.2%),決済代行(ペイジェント)(売上シェア46.5%),オークション(モバオク)(売上シェア16.2%)を取り扱っています.DeNAの売上高は下降気味といったところでしょうか.

モバオクや旅行サービスが他のサービスに押されて収益を減らしています.一方で,決済代行サービスは収益を伸ばしています.資料を見ている限り,DeNAはこの分野は安定事業と位置付けているだけで,積極的な成長を目指している訳ではなさそうです.他企業が強力なので,ここで無理に勝負をしない方針です.

DeNAのスポーツ事業

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(野球事業として独立して計算され始めたのが2015年以降なのでそこからのデータしかありません.)

野球,ランニングクラブなどを取り扱っています.2011年に横浜DeNAベイスターズの運営を開始しています.売上高は極めて順調に伸びています.野球事業って今でも拡大事業なんですね.

ベイスターズは負け続けているけど熱狂的なファンがいるイメージです.今後の成長は野球業界全体の成り行きにかかっているとは思いますが,横浜を拠点にしている分,多くの他球団よりは人口減の影響を受ける度合いが少なく有利です.

DeNAの新規事業

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IP創出プラットフォーム(マンガボックス,エブリスタ,MyAnimeList),ヘルスケア(MYCODE,KenCoM,歩いておトク),オートモーティブ,SHOWROOM,メディアを取り扱っています.売上高は増加傾向にあります.

なお,どのサービスも投資段階であるため,営業利益はマイナスです.新規事業の中でも,ヘルスケア,オートモーティブ,SHOWROOMに力を入れているようです.

現状,一番の有望株はSHOWROOMでしょう.SHOWROOMは2017年の動画配信アプリランキングで1位,非ゲーム部門では6位となっています.*2

SHOWROOMはアイドル好きな人や生放送が好きな人は利用したことがあったり投げ銭をしたことがある人もいるのではないでしょうか.

また社長である前田裕二さんも有名ですよね.天才IT起業家が作る世界を楽しみにしている人も多いはず.

DeNAのメディア

DeNAの「WELQ(ウェルク)」については記憶に新しいと思います.

新たな収益の基盤として多くのメディア企業を買収し,圧倒的な規模で作り上げようとしていたメディア事業でしたが,あるメディアをきっかけに炎上しほぼすべてのメディアを閉じることとなりました.

医療の分野で不確かな情報を発信したことで,非難の声が集まり,最終的には企業側からの謝罪がありました.

しかしながら,検索エンジンによる順位をあそこまで最適化しあらゆるジャンルで結果を出していた点についてはさすがDeNAといったところでしょうか.企業だからできるこその規模によるSEO対策がされていたようです.

DeNAの強み

  • 営業利益率が高い

営業利益率は落ちてきたといっても,営業利益率20%前後を維持し続けており,経営自体に不安定さは感じません.

  • 任天堂と提携

DeNAはゲーム事業において任天堂と業務・資本提携を行っています.任天堂キャラクターのブランド力は凄まじく,世界全体に対して有効です.2018年度にはマリオカートツアーの発売を予定しています.

どうぶつの森やファイアーエンブレムは日本色が強いですが,マリオカートはまさにグローバルで展開することが可能であり,爆発的な利益をもたらす可能性があります.任天堂の社是から考えると利益偏重のガチャを実装することは難しそうですが,今後の成長の鍵を握っているのは間違いないでしょう.

  • ブランド力

任天堂がよりアプリゲームで勢いのある企業と提携しなかった理由として,DeNAが最もブランド力があり,かつブラウザゲームから培ってきたノウハウがあったからだと推測できます.

なんだかんだ球団を運営していると世間認知度が上昇し,企業イメージが向上します.また,長年ブラウザゲームからノウハウを培ってきた御蔭で任天堂と提携することもでき,任天堂との提携によりさらにブランド力が向上しました.

結果的に,現状アプリゲームを開発する企業の中では一番のブランド力を有しています.これは新規事業を始める上でも非常に重要であり,容易に獲得できるものでもないので,他企業にはない強みだと言えます.

DeNAの弱み

  • 当たっているゲームアプリがない

FFレコードキーパーは一時期かなり好調でしたが,現状では94位まで落ち込んでいます.

ほかのゲームアプリはそれ以下であり,さすがに大ヒット作があるとは言えません.アプリゲーム自体飽和状態であるので,大ヒット作を作ることは難しいですが,任天堂と提携している強みを活かして何とかやっていくべきでしょう.

  • 過度のゲーム事業依存

DeNAはゲーム事業に依存しすぎています.現状はよいものの,このままヒット作を生み出せないor政府がガチャを規制し始めた場合に非常に不味いことになります.ましてやDeNAはアプリゲーム開発企業としては人数が多いため,一般管理費が多いのです.

現状として,新規事業は51億円の赤字であり,EC事業,スポーツ事業の利益を併せても賄いきれません.ゲームが赤字になったとしても,せめて他のセクションでは黒字の状態になるように成長を加速させていくべきです.

DeNAの今後

DeNAの今後の施策

  • 2018年度「マリオカートツアー」リリース
  • 横浜スタジアムを増築・改修し,2020年までに収容人数6000人増とする.
  • オートモーティブ事業「タクベル」に積極投資
  • ヘルスケア型保険の新設
  • ソーシャルLIVEサービス(「SHOWROOM」「Pococha」)のサービス向上

などを行っていくようです.

DeNAのキーポイント

  • オートモーティブ事業「タクベル」に積極投資

資料を見る限り,かなり力を入れて行っていく事業のようです.新規事業の中で一番の成長を見込んでいます.タクベルとは,アプリで地図上にピンを建てるだけで,その地点にタクシーを呼べる配車サービスのことです.

将来的な完全無人運転での爆発的利用増を見込んで,現在から積極投資を行っていくようですね.

現在は首都圏(神奈川の横浜・川崎)のみで展開していますが,2018年秋以降は全国展開し,2020年には配車サービスNo.1を目指す方針です.また,日産自動車と無人運転車両を用いて,無人運転者による配車サービスの実証実験を共同で行っています.

確かに配車サービスの将来的な伸びは著しいものがあり,この分野で地位を築いておくことは非常に重要です.競合会社も多い中果たして本当にNo.1をとれるのか.注目です.正直今は似たり寄ったりなサービスで何で差別化するのか謎ですね.

DeNAは就職先としてあり?なし?

  • 勤務地

採用勤務地は東京の渋谷になります

  • 将来性

今後5年で潰れることはないでしょう(手持ち資金的に).ただし今後5年が明るいものとなるか否かはゲーム事業でヒット作を生み出せるかどうかにかかっていますが,マリオカートはかなり長期間にわたって莫大な利益を生み出してくれると予想しているので,未来は明るいと思います.

5年後以降はゲーム事業がまたスマホタップアプリから新しい形態に移行すると思いますので,そこに対応できるか,SHOWROOMや配車サービスをどこまで成長させることができるかにかかっています.

配車サービスは未知数ですが,SHOWROOMは実績を積み上げており,かなりの成長が期待できます.総合すると将来性はかなり高いです.

  • 年収

757万円

渋谷で働きたい方or任天堂のアプリゲーム開発に携わりたいorSHOWROOMなど動画配信サービスに携わりたい方にはありかと思います.

任天堂以外のアプリゲームであれば他のほうが利益率もよいのでそっちのほうが良いですし,EC事業やヘルスケアなどは他企業のほうが進んでいるのでDeNAを選択する意味はあまりありません.

以上ご参考になれば.

他の企業はこちらから.
www.atoq.tokyo

*1:APPLIONより

*2:App Annie「2017年トップアプリ:国内ランキング編」より

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