【ドコモの今後と将来性】5G導入でどうなる?コンテンツ強化がカギ【企業分析】

株式会社NTTドコモ
NTT DOCOMO, INC.

国内トップシェアを誇るドコモ

就職先としてありなのかなしなのか見ていきましょう!

ドコモとは?

創業:1992年
売上高:4兆7623億円
従業員数:27464人(連結)
本社:東京都千代田区

勤務地

基本的に全国各地になります.理系の技術系で就職した場合もジョブローテーション制度があり,3年で転勤が基本です.
全国転勤に耐えられる方のみ行くべきでしょう.

事業情報

以下のグラフは特記していない限り「アニュアルレポート 2018」より引用しています.
(エクセルは資料に基づき作製したオリジナルです.)

ドコモの売上高・営業利益推移は以下のようになっています.
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売上高は緩やかな増加傾向にあります.近年の売上高増を支えているのは,光通信サービスの拡大と音声通信の収入増によるものです.パケット通信収入に関しては頭打ちの印象があります.新規事業であるスマートライフ領域は今年度は減収となりましたが,増加傾向にはあります.今まで極めて順調に売上を高めてきたドコモですが,2019年には確実に減収が予想されます.というのも,最新のニュースで2019年に携帯料金を2~4割値下げすることを決定しており,その影響が出てくるためです.政府が何度も日本の携帯料金は高すぎると非難していたので,他の2社の先陣を切って値下げすることで企業イメージの向上を狙ったと思われます.
また,営業利益に関しても,増加傾向にあります.営業利益率は2017年度で20.4%を記録し,高利益体質であることが伺えます.上記した値下げの影響がどこまで出てくるか,に関しては恐らく10%程度まで落ち込むと考えられます.

ドコモは以下のような事業を行っており,その構成比は以下のようになっています.
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通信事業がほとんどを占めていることが分かりますね.

通信事業

携帯電話サービス,光ブロードバンドサービス,衛星電話サービス,国際サービス,各サービスの端末機器販売を取り扱っています.それぞれの売上高比率は以下のようになっています.
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パケット通信料が過半の収益を稼ぎ出していることが分かりますね.ただし,パケット通信料は頭打ちになりつつある一方で,光通信が顕著な伸びを示しています.以下がそのことを示したグラフです.ARPUとはAverage monthly Revenue Per Unitの略で,1利用者あたりの月間平均収入を指します.MOUとはMinutes of Useの略で,1利用者当たりの月間平均通話時間を指します.
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パケット通信が頭打ちになりつつある中,音声ARPUやドコモ光APRUが上昇しています.また,特徴としては国内の携帯電話契約数はトップであり,45.3%を占めています.

スマートライフ領域

スマートライフ領域はスマートライフ事業とその他の事業に分けられています.

  • スマートライフ事業

動画配信・音楽配信・電子書籍サービスなどのdマーケットを通じたサービス,金融・決済サービス,ショッピングサービス,生活関連サービスなどを取り扱っています.売上高は4667億円です.売上高は今年度は減少となっていますが,基本的には増加傾向にあります.決済の取扱高やdカード契約数,dポイントクラブ会員数,dポイント提携先は全て増加しており,極めて順調に推移してきています.ただし,dブックやらdゲームやら多種多様なサービスがありますが,その分野でトップとなっているサービスはほぼない印象です.実物サービスですが,バイクシェア事業は東京だと一番成功していますね.通信事業が伸び悩む中,いかにコンテンツ事業を拡大できるかで成長性が変わってくるでしょう.

  • その他の事業

ケータイ補償サービス,システムの開発・販売・保守受託などを取り扱っています.売上高は4365億円となっています.基本的に付加価値の提供になっていますね.

ドコモの強み

  • 携帯電話契約数1位

携帯電話契約数は日本国内で第一位であり,45.3%を占めています.KDDIが31.0%,ソフトバンクが23.6%となっています.

  • 多種多様なサービスを提供している&アプリプリインストール

ドコモは幅広いサービスを提供しており,それらのサービスを販売端末にプリインストールすることによって,半ば強制的にサービスと接点を作ることが可能です.これは通信キャリアではない他のIT企業にはできないサービス提供の仕方ですね.また,携帯電話契約数が日本一ですので,その利点を最大化できています.決済サービスは今やほとんどの有名IT企業が主導権を握ろうと取り扱っていますが,日本人口の45%に対してd決済を元から利用可能な状況に置いているのは優位性が高いです.

  • NTTグループの一員

5Gを1企業が実現するのは技術的な問題だけではなく,通信インフラレベルで改革を行う必要があり非常に難易度が高いです.しかし,ドコモはNTTグループの一員であり,NTTグループは通信インフラを牛耳る組織です.合計で売上高は10兆円を超え,日本最大の通信事業グループです.効率的な研究開発投資やインフラサービスソリューションを提供でき,他の企業よりも優位に5Gへの移行を進められる可能性が高いです.

ドコモの弱み

  • 海外売上比率の低さ

現在のドコモの海外売上比率は10%を切っていると言われています.ソフトバンクが50%に迫ろうとしている中,どうしてドコモはこんなにも海外売上比率が低いのか?それは過去に海外M&Aに乗り出したことはあったものの,数兆円に上る損失を出し,事業撤退を余儀なくされたからです.imodeで全盛期を迎えていた2000年前後ですね.そのため,実はドコモはあまり手元資金がそこまで多くありません.このまま日本の中だけで商売を続けていくだけでは,5Gという起爆剤があったとしても10年後には確実に頭打ちになってしまいます.早めに次の手を打ち出す必要がありそうです.

  • コンテンツサービスの弱さ

多種多様なサービスを提供してはいるものの,そのサービスでトップとなるようなコンテンツがありません.

  • 国内通信事業の頭打ち

光通信がかろうじて伸びてはいるものの,その他の収益は頭打ちになりつつあります.ましてや2019年から基本料金の2~4割の値下げを発表しており,収益基盤が危ぶまれています.

ドコモの今後

中期経営計画から見る今後の施策

5Gを利用した9つのプロジェクトを実施すると述べています.

  • 新エンタメ体験
  • 次世代モビリティ
  • シェアリング
  • AIエージェント
  • FinTech
  • トータルヘルスケア
  • ドローンロボティクス
  • ワークイノベーション
  • ワークマッチング

キーポイント

5Gを利用すれば基本的に上記の夢のようなプロジェクトは実現可能だと推測されるので,あとは如何に参画していくかでしょう.どうもドコモは海外M&Aで失敗したことから分かるように,事業選択が苦手な印象を受けます.今後伸びていく企業を正確に見極め,しっかりタッグを組んでいけるかどうか.これが重要となってくるでしょう.

ドコモは就職先としてあり?なし?

  • 勤務地

基本的に全国各地になります.理系の技術系で就職した場合もジョブローテーション制度があり,3年で転勤が基本です.
全国転勤に耐えられる方のみ行くべきでしょう.

  • 将来性

5Gが実現する今後10年は間違いなく問題ないでしょう.その後はどうも成長戦略が不透明であり微妙です.国内では繁栄するものの,世界的には存在感が皆無な企業となる予感がします.

  • 年収

873万円

日本国内の通信事業を重視したい方にはありかと思います.
他のキャリアに比べて国内色が強いです.グローバルに働きたいのであれば他の2社をお勧めしますが,日本に重きを置いて働いていきたいのであればドコモが一番よいのではないでしょうか.

以上ご参考になれば.

他の企業はこちらから.
www.atoq.tokyo

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