【IHIの今後と将来性】航空事業は航空エンジン国内シェア1位で絶好調だが,他事業が足を引っ張り続ける【企業分析】

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旧「石川島播磨重工業」

一般的な認知度は低いものの,日本の航空機エンジンに強みがあるIHI

就職先としてありなのかなしなのか見ていきましょう!

IHIとは?

創業:1853年
売上高:1兆5903億円(連結)
従業員数:東京
本社:29,706人(連結)

勤務地

事業によって異なりますが,設計所や技術開発センターは東京近郊にあることが多いです.
研究開発→技術開発本部,横浜エンジニアリングセンタ(横浜)
航空・宇宙・防衛→昭島事務所(東京昭島市),技術開発本部(横浜),相場第一・第二工場(福島),瑞穂工場(東京西多摩)
他の事業→兵庫,広島,愛知,横浜
自分が行きたい事業がどこにあるかはしっかり確認するようにしましょう.
研究開発はほぼ間違いなく技術開発本部or横浜エンジニアリングセンタで横浜になります.

事業情報

以下のグラフは特記していない限り「統合報告書 2018」より引用しています.

IHIの売上高,営業利益率推移は以下のようになっています.
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売上高は大局的に見れば緩やかな上昇基調にあります.これは航空エンジン需要の増加に伴う面が大きいです.また,海外売上比率は確実に上昇してきており,現在は51%ととうとう過半数を超えるまでに至りました.一方で,営業利益に関してはあまり好調であるとはいえません.メーカー平均が5%と言われている中,近年のほとんどでそれを下回っています.時には赤字に転落しています.IHIのこの低い営業利益率は問題とされており,経営効率化が急務です.この営業利益率の低さは航空事業以外から来ることがほとんどです.

IHIは以下のような事業を取り扱っており,売上高比率は次のようになっています.
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  • 資源・エネルギー・環境事業

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火力発電用ボイラ,原子力機器,貯蔵プラント,ガスタービン発電設備などを取り扱っています.売上高に占める割合は事業で見れば最大です.LNGタンクの需要は世界でも上昇すると想定されており,基本的に着実に売り上げを伸ばしていくと思われる事業です.ただし成熟産業ではあるので,他企業との差別化が難しく利益が出し辛いことがネックとなっています.事実,近年はプロセスプラントやボイラでの事業悪化が響き営業赤字が続いています

  • 社会基盤・海洋事業

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橋梁,新交通システム,パーキングシステム,トンネル工事用掘進機などを取り扱っています.売上高に占める割合は事業で見れば最低です.こちらも資源・エネルギー・資源事業と同様で,確実な需要増加は見込まれているものの,うまく営業利益を出すことができていません.近年まで営業赤字が続いており,ようやく黒字へと転換しました.これはジャパンマリンユナイテッドとの連携によって浮体式洋上天然ガス液化設備での事業改善が進んだためです.今後はアジアでの輸送インフラ投資が積極的になる中でどれだけ新しい受注をとれるかが成長の分かれ道です.

  • 産業システム・汎用機械事業

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圧縮機,運搬機械,車両用ターボチャージャー,船用ターボチャージャー,物流システム,熱・表面処理,分離装置などを取り扱っています.こちらは安定して営業黒字を達成しているものの,まだ営業利益率としては5%を切っており,経営効率化が求められています.今後,この事業の中ではターボチャージャーが最大規模であり,実際ターボチャージャーを寡占している4社のうちの1社がIHIです.その世界シェアは20%に及んでいます.今後も2030年までは順調な伸びが見込める分野です.その後は物流システムに力を入れているようですので,そこでの頑張り次第でしょう.

  • 航空・宇宙・防衛事業

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ジェットエンジン,ロケットシステム,宇宙利用などを取り扱っています.製品ごとの売上高でいえば全体の25%を航空エンジンが占めており,最大となっています.売上高は減少傾向にあるものの,今後は持ち直していくことが予想されています.特筆すべきはその営業利益率の高さです.この事業だけ営業利益はコンスタントに10%を超えており,まさに中核事業です.この事業で他の事業の赤字をカバーしている状況です.日本における航空エンジンのリーディングカンパニーでもあります.航空エンジンに関しては,三菱重工がIHIの下請けです.

IHIの強み

  • 航空エンジン国内シェア70%,及び高い営業利益率

国内の航空エンジンにおいて絶大な強みを握っています.日本の航空エンジンならIHIと言ってよいでしょう.営業利益は10%程度で安定しており,非常に安定しています.また,民間航空エンジン用ロングシャフトは世界シェア70%を記録しています.なお,航空エンジンの世界シェアは約5%程度と決して高いわけではありません.徐々にではありますが,売上高,シェアともに伸びてきているので今後の成長に期待しましょう.
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*1

  • ターボチャージャー世界シェア20%

上記しましたが,ターボチャージャーは4社による寡占であり,IHIは20%を獲得しています.2030年までは市場規模が拡大していく見込みですので,安定した収益を稼ぎ出してくれると思われます.

  • LNGタンク世界シェア21%,超低温LNG BOGレシプロ圧縮機世界シェア60%

LNGタンクの世界シェアが21%,超低温LNG BOGレシプロ圧縮機世界シェア60%と高いです.世界でのLNG需要は増加傾向にあるため,今後も成長を続ける事業です.

  • タワーパーキングや橋梁など巨大構造物に強み

タワーパーキングの国内シェアは42%あり,世界最長の吊橋である明石海峡大橋を建造した実績もあります.造船技術から培ってきた高い技術力を背景に国内での実績を積み上げてきましたので,より成長していくためには拡大する世界市場でいかにシェアを獲得していくかのマーケティングが大事になってきます.

IHIの弱み

  • 航空・宇宙事業以外での営業利益の低さ・不安定さ

航空・宇宙事業以外では,世界シェアが高かったり,技術がトップクラスであったりするのにも関わらず,どこかがやらかして赤字転落やすれすれになることが多々あります.例えば,2017年位は北米のエネルギー事業で特別損失,18年にはLNG船やプラント工事で特別損失
経営陣の見通しの甘さがあると推測され,体質的問題が指摘されています.今後の改善にも長い時間がかかると見込まれ,抜本的な改革が必要です.

IHIの今後

中期経営計画から見る今後の施策

IHIはどの事業を強化していくのか明確に記載しており,他の企業に比べて印象が良かったです.IHIは以下の事業を優先投資指定としており,今後力を入れていく事業としています.

  • 原動機プラント
  • 回転機械
  • パーキング
  • 陸舶用原動機
  • ボイラ
  • 橋梁・水門
  • 車両過給機
  • 航空エンジン
  • ロケットシステム・宇宙利用

キーポイント

  • 航空エンジン

とにもかくにもIHIは航空エンジンで如何に稼いで他の事業を安定した収益基盤に持っていけるかが勝負です.今後20年で航空機需要は倍増すると予定されており,生産もそうですが,メンテナンスやオーバーホールなどのサービス業の市場規模は確実に高まります.サービスにも強みを持つIHIは今後不祥事を起こさずに,受け入れ台数を増やすことができれば確実な成長が期待できます.

  • 経営体制の健全化

IHIはこれが重要です.先を見通す有能な経営者がいれば確実に復活していける技術力とサービス力を有しています.

IHIは就職先としてあり?なし?

  • 勤務地

研究開発→技術開発本部,横浜エンジニアリングセンタ(横浜)
航空・宇宙・防衛→昭島事務所(東京昭島市),技術開発本部(横浜),相場第一・第二工場(福島),瑞穂工場(東京西多摩)
他の事業→兵庫,広島,愛知,横浜

  • 将来性

航空・宇宙・防衛事業は航空機需要の増加に伴って確実に将来伸びる事業です.一番安泰です.
産業システム・汎用機械事業→ターボチャージャーと運搬機械の御蔭で今後は成長していける見込み.
社会基盤・海洋事業→ずっとこのままで,黒字赤字をいったりきたりするのでは
資源・エネルギー・環境→市場規模的に伸びるので,マーケティング次第.

  • 年収

743万.三菱重工業に比べれば劣ります.

  • その他

三菱重工に比べてあまり分社化していないのが印象良い(働く側としては).

航空エンジンに携わりたい方にはありかと思います.
航空エンジン以外の事業でわざわざIHIを選択する理由はあまりない.

以上ご参考になれば.

他の企業はこちらから.
www.atoq.tokyo

*1:一般社団法人 日本航空宇宙工業会「航空宇宙産業データベース 平成30年7月」より