【味の素の今後と将来性】アミノ酸技術でグローバルtop10を目指す食品業界最大手【企業分析】

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味の素株式会社

食品大手の味の素.

就職先としてありなのかなしなのか見ていきましょう!

味の素とは?

創業:1909年
売上高:1兆1150億円
従業員数:34,452人(連結)
本社:東京

勤務地

本社→東京
研究所→川崎
工場→川崎,四日市,佐賀
支店は全国各地.これからだいたい分かりますが,
技術系→川崎,四日市,佐賀のいずれか.研究者の場合は川崎がベースになる
文系→全国各地.デザイン系に限り本社.

事業情報

以下のグラフは特記していない限り「統合報告書 2018」より引用しています.
(エクセルは資料に基づき作製したオリジナルです.)

味の素の売上高・営業利益推移は以下のようになっています.
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(2015を二つ表示しているのは会計基準が変更されたためで,2015年以前は日本会計基準,2015年以降は国際会計基準となっています.以降のグラフも同様)
売上高は増加傾向にあります.
2012年はカルピスをアサヒに売却した影響で最低の落ち込みとなっています.カルピスを売却した目論見としてアミノ酸などの重点分野に集中投資することが挙げられていましたが,その経営戦略が功を奏し,現在では増加傾向となっています.

また,2015年度に売上高が急増したのは買収による結果です.ウィンザー・クオリティ・ホールディングス社(現「味の素ウィンザー社」.アメリカにおけるアジアン・エスニックの冷凍食品メーカー最大手)や味の素ゼネラルフルーツ(AGF)株式会社が買収されています.2016年度には医薬事業の再編としてEAファーマの一部株式を売却し,持分法適用会社としたため,売上が減少しています.

企業の売買が盛んに行われ,売上高は変動が激しいことが分かりますね.各事業の調子がどうかは以下の事業ごとセクションで判断します.いずれにしても経営再編の一環であり,良いイメージで捉えてよいと思われます.

一方で営業利益も増加傾向にあります.営業利益率に関しても増加傾向にありますね.事業の選択と集中を進めてきた成果ができていると言えます.

味の素は以下のような事業を行っており,その売上構成比は以下のようになっています.
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やはり食品が殆どを占めており,75%以上あることがわかりますね.一方で,すでに海外食品が日本食品を上回っていることも注目点です.

日本食品

日本で販売する食品を取り扱っています.調味料・加工食品(「味の素」「ほんだし」「コーンクリーム」「CooK Do系列」「クノール系列」),冷凍食品(「冷凍餃子」),コーヒー類(「Blendy Stick」)を主要ブランドとしています.スーパーに行って味の素の食品を目にしないことは無理でしょう.
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主要子会社は「クノール食品株式会社」「味の素パッケージング株式会社」「味の素ベーカリー株式会社」「デリカエース株式会社」(調味料・加工食品),「味の素冷凍食品株式会社」「株式会社コメック」(冷凍食品),「味の素AGF」(コーヒー類)となっています.

日本食品の売上・営業利益率推移は以下のようになっています.
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基本的に全体業績で上記した内容通りの動きをしています.2012年にカルピスを売却したため,2013年は大きく売上高を落としており,2015年は味の素ゼネラルフルーツ(AGF)株式会社を買収によって売上高を大きく上げています.2015年以降は大きな買収はなく,低規模な子会社を売却しただけで,売買による売上高影響は大きくありません.近年は家庭向けコーヒー市場が低迷したことが主要因として売上を落としています

いずれにしても国内の食料需要は人口の減少に伴って低下するので,主要ブランドを活かした効率的な経営が求められています.既に如何に利益率を高めていくかというフェーズに入っていると言えるでしょう.現状の営業利益率は8%前後と高い水準で推移しており,最終的には10%を目標としています.

また,売上構成比は次のようになっています.
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調味料・加工食品が過半を占めることが分かりますね.

市場シェアとしては,複数分野でシェアNo.1をとっていることが挙げられます.ドライセイポリー(うま味調味料と風味調味料)で61%,スープで38%,家庭用餃子で48%,スティックコーヒーで63%となっています.

海外食品

海外で販売する食品を取り扱っています.調味料・加工食品(「味の素」など)が最も良く売れており,次点で冷凍食品となっています.
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海外食品の売上・営業利益率推移は以下のようになっています.
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売上高は増加傾向にあると言えます.2015年に大きく売上高が増加したのはウィンザー・クオリティ・ホールディングス社(現「味の素ウィンザー社」.アメリカにおけるアジアン・エスニックの冷凍食品メーカー最大手)を買収したためです.2015年以降は為替の影響を受けて増減を繰り返しています.本来の売上的にはあまり伸びているわけではなく,海外展開に苦戦している様子が伺えます.

市場シェアとしては,ドライセイポリー(うま味調味料と風味調味料)が23%,北米のアジアン冷凍食品で30%を占めています.
また,主要なターゲット国としては,東南アジア(タイ・インドネシア・ベトナム・フィリピン),ブラジル,北米・欧州です.

ライフサポート

動物栄養(リジン,スレオニン,トリプトファン,バリンなど,特に飼料用に開発)や化成品(化粧品,半導体パッケージ用層間絶縁材料など)を取り扱っています.動物栄養といっても,広義の動物であって人間対象も含みます.リジンやスレオニンは必須アミノ酸の一種であり,味の素が有する高いアミノ酸技術を利用して,アミノ酸を開発しています.化成品はアミノ酸を美容に応用したり,その商品開発力とシナジーのある分野材料の開発が行われています.
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主要子会社は「味の素アニマル・ニュートリッション・グループ株式会社」「味の素ヘルシーサプライ株式会社」「味の素アルテア社」「味の素オムニケム社」などとなっています.この事業の商品群が良くわからない場合は以下を参照してください.
ライフサポート事業


ライフサポートの売上高・営業利益率推移は以下のようになっています.
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(セグメント区分が2015から変更となったのでここからしか比較できません)
売上高は横ばいか減少傾向となっています.ライフサポートセグメントはその比率から動物栄養が与える影響が大きいです.そして,動物栄養内のリジンやスレオニン,トリプトファンは需給の影響を直に受けるため,価格変動が激しく売上高がそれにダイレクトに反応します.

例えばリジンであれば,大豆の価格の影響を強く受けます.リジンは必須アミノ酸の一種であり,家畜はトウモロコシ飼料に加えて,このリジンを摂取しなければなりません.大豆はリジンを多分に含むので,飼料メーカーは大豆かリジンを直接与えるかを選択することになり,大豆の値段が安ければ大豆,大豆の値段が高ければリジンを直接与えるようにしています.そのため,大豆が豊作か否かで設定価格が大幅に変化します.

また,近年は中韓のアミノ酸業者も出現し,競争が激化しています.よって,味の素はコモディティ製品であるリジン,スレオニンの自社製品比率を段階的に減らす方針を打ち出しています.

2016年はそんなこんなでアミノ酸の販売価格が大きく低下した影響で,売上高が減少しています.営業利益率も同様です.

市場シェアとしては,リジン15%,スレオニン20%,トリプトファン20%となっています.これらのシェアは段階的に落とし,高付加価値製品へシフトしていくと考えられます.

ヘルスケア

医薬用・食品用のアミノ酸及び,再生医療,技術開発サポートなどを取り扱っています.75%がアミノ酸です.

ヘルスケア事業の売上高・営業利益率推移は以下のようになっています.
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(セグメント区分が2015から変更となったのでここからしか比較できません)
売上高は増加傾向にあります.医薬用・食品用アミノ酸が好調です.ただし,為替の影響も受けやすいので売上高は中々安定はしません.

市場シェアとしては,医薬用を中心とした高品質アミノ酸において40%以上を占めています.

味の素の強み

  • 複数の食品分野でシェアNo.1

ドライセイポリー(うま味調味料と風味調味料)で61%,スープで38%,家庭用餃子で48%,スティックコーヒーで63%

  • 各種コモディティアミノ酸で高いシェア

リジン15%,スレオニン20%,トリプトファン20%

  • 高品質アミノ酸で非常に高いシェア

医薬用を中心とした高品質アミノ酸において40%以上を占めています.

  • 高いアミノ酸技術

上記の強みで分かるようにアミノ酸全体で非常に高いシェアを占めており,アミノ酸関連の技術では世界トップです.

味の素の弱み

  • 日本市場の縮小

いまだ35%を占める日本市場は今後人口減に伴って縮小していく見込みです.その売上減に対応できるほど海外食品が伸びているかと言われる怪しいところです.

  • 海外展開に苦戦

近年は売り上げを伸ばすことができておらず,営業利益率も低下しています.買収頼みとなっており,せっかく買収したシナジーも活かせているようには思えません

  • 一部アミノ酸の価格競争

リジンやスレオニンは一般化した影響で,価格競争にのまれ市場規模が拡大するのにOEMとする方針を打ち出しています.市場規模は拡大する見込みでも,そこまで味の素の売上には貢献していこないと思われます.

味の素の今後

中期経営計画から見る今後の施策

  • 2020年にグローバル食品企業トップ10入りを目指す
  • 営業利益率10%を目指す
  • リジン・スレオニンの生産削減
  • 高付加価値アミノ酸へのシフト
  • 海外,特にタイやブラジルにおけるプレゼンスの向上

キーポイント

  • 高付加価値アミノ酸へのシフト

一般的なアミノ酸は価格が低く,どうしても利益が出にくい体制となっています.そのため,グローバル食品企業トップ10に入るためにも,高付加価値アミノ酸へシフトし,利益をより出しやすい体質へ変化する必要があります.

味の素は就職先としてあり?なし?

  • 勤務地

本社→東京
研究所→川崎
工場→川崎,四日市,佐賀
支店は全国各地.これからだいたい分かりますが,
技術系→川崎,四日市,佐賀のいずれか.研究者の場合は川崎がベースになる
文系→全国各地.デザイン系に限り本社.

  • 将来性

将来性はとても高いです.アミノ酸市場は将来的には確実に増加する見込みであり,そのアミノ酸市場で味の素はトップのシェアを有しています.このトップシェアを堅持していくだけで安定成長をしていくことができるでしょう.ただし,国内市場が縮小していくなかで,海外におけるアミノ酸(うま味調味料)以外の冷凍食品などの売上高も伸ばしていかなければ,アミノ酸一局集中となってしまい,安定性が良くはありません.特に,アミノ酸は市場価格が変動しやすいので,今後は海外において冷凍食品を拡大していけるかが安定した事業成長を行えるかの鍵となりそうです.

  • 年収

945万円

食品業界を目指す方多いと思うので,その比較で書けば
アミノ酸を軸とした食品に興味がある方orとりあえず食品業界に行きたい方にはありかと思います.
味の素が取り扱っている食品は多々ありますが,調味料が占める割合も大きいです.調味料が本当に取り扱いたい商品なのかどうか(自分が食品として取り扱いたい商品なのか)を良く考えることが重要です.まして,飼料用などになる可能性もあるので,人に対してだけとは限りません.あくまでアミノ酸を軸とした,というところに魅力を感じる方が行くべきです.
ですが,とりあえず食品業界に行きたいという方であれば,味の素以上に良い場所はないと思います.食品トップクラスですね.

以上ご参考になれば.

他の企業はこちらから.
www.atoq.tokyo