【自動車業界徹底比較】7社それぞれの強み・弱みと将来性・自動運転への取り組みは?【企業分析】

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※2019年3月期まで反映させています

自動車会社7社を徹底比較します.
ダイハツはトヨタの子会社なので省略します.

それぞれの詳細はこちらから.
日産自動車
ホンダ
トヨタ
三菱自動車
マツダ
スバル
スズキ
こちらで書いた内容を簡易的にまとめて,各車の比較を行います.
以下を先に読んで,気になった企業のページを見に行くと良いと思います.

売上高

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1位:トヨタ.30兆2256億円
2位:ホンダ.15兆8886億円
3位:日産.11兆5742億円
4位:スズキ.3兆8714億円
5位:マツダ.3兆5649億円
6位:スバル.3兆1605億円
7位:三菱自動車.2兆5145億円

当たり前ですが,売上高はトヨタが圧勝です.
売上規模からトヨタ,ホンダ,日産が日本の3大自動車メーカー,スズキ,マツダ,スバル,三菱自動車が中堅自動車メーカーとしてグループ分けすることができます.
2008年から2010年へは各社ともに売上を大きく落としていますが,これはリーマンショックによる販売減の影響です.一方で,スバルはリーマンショック時の売上減の影響が最も小さく,事態に迅速に対応できる経営能力があることが示されています.

リーマンショック後は各社同時に持ち直しているものの,その明暗ははっきり別れています.トヨタ,ホンダ,マツダ,スズキの4社はリーマンショック以前の売上高を更新,過去最高売上を記録し,更にここ数年も売上高は増加傾向にあります.主要な理由を挙げれば,トヨタ,ホンダは世界の自動車需要増にうまく対応し,マツダはデザインの統一によるブランド化・固定客の獲得に成功し,スズキはインドでの好調が止まりません.


一方で,日産は2016年に過去最高売上を更新したものの,ここ数年は頭打ちの展開となっており,ホンダに売上高で溝を開けられています.2020年3月期も不正検査問題によって売上が減少する見込みで日産はしばらく苦難が続きそうです.なぜこうなったか?様々な要因が想定されるものの,主要因としては,マーケティングに傾倒した技術力の低下,およびEVシフトが想定より進んでいないことが挙げられます.


また,スバルは2012年から北米での好調により大幅に売上を伸ばしてきましたが,ここ数年はピークアウトしており,正念場を迎えています.走る楽しさとアイサイトを中心とした安全を訴求することで北米で確かな地位を築いてきましたが,各社が先進安全装備を取りそろえ,アイサイトの優位性が消失してきた昨今,新たな武器が求められています.


最後に,最も凋落が激しいのは三菱自動車でしょう.2000年,2004年と相次いで大規模なリコール隠しを行っていたことが明るみとなり,ユーザーの信頼を失い,大きく売上高を落としました.その後,一度も当時の水準を超えることができず,低迷しています.何とかここ数年は上昇基調にありますが,相次ぐ赤字で縮小した投資能力の結果,選択と集中を迫られ,失敗が許されない状況とも言えます.ある意味,今後が最も楽しみな企業です.

営業利益

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営業利益率

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1位:トヨタ.2兆4675億円(8.2%)
2位:ホンダ.7263億円(4.6%)
3位:スズキ.3243億円(8.4%)
4位:日産.3182億円(2.7%)
5位:スバル.1955億円(6.2%)
6位:三菱自動車.1118億円(4.4%)
7位:マツダ.830億円(2.3%)

営業利益で比較した場合もトヨタが圧勝です.しかし,営業利益率で見た場合,スズキがトップとなっています.インドでの売上が好調であり,営業利益率も長期的に増加傾向となっています.売上規模が3倍もある日産に営業利益で上回っている事実は驚異的です.

リーマンショック以後の営業利益率をベースとして考えれば,売上とは違った各社の側面が見えてきます.

トヨタ,スズキは営業利益率が高く,ここ数年も高い水準を維持しています.売上高が増加傾向にありつつ,営業利益率も高い水準で推移しているため,実に好調であることが伺えます.トヨタ,スズキは今の自動車業界の勝ち組といえます.


ホンダ,スバル,三菱自動車は営業利益率が平均程度となっています.ホンダは売上が伸びてきている一方で,営業利益はほぼ横ばいとなっています.NBOXが好調なイメージがあるので以外かと思われますが,それは日本に限った話であって主要市場が海外に変遷しつつある中では大きな成果とは言えません.むしろ,地域専用車を開発している分コストが嵩み,TNGA等の統一アーキテクチャをいち早く導入してきたトヨタには劣るのが現状です.ほぼ2輪事業で営業利益が支えられていると言ってよく,2輪事業からは4輪事業に対して苦言が呈されているとの噂もあります.


スバルはここ数年で営業利益率が急落しています.記憶に新しいと思いますが,検査不正やリコールが重なったことが原因です.安心を全面に押し出して成功してきたスバルが今回の事件で被る影響は当座のリコール費用よりもブランドイメージの毀損が大きいでしょう.今後,誠実なモノづくりを通して信頼を回復していけるかが重要となってきています.


三菱自動車は上記2社と異なり,営業利益率が5%前後を最大として低調に推移しています.結果的に2000年,2004年の品質問題がいつまでも尾を引いていると言えます.2004年の問題が落ち着いてきたころにリーマンショックにあい,不運に見舞われています.その結果,投資を継続することができず,車種を絞らざるを得なかったことが効いてきています.頼みのPHEVアウトランダーが近年のSUV,電動化ブームにのってどこまでシェアを伸ばしていけるかが焦点となっています.


日産,マツダは営業利益率が低い結果となっています.日産は売上も営業利益率も減少傾向となっていますので,やっちゃえ日産と皮肉られる始末です.一方で,マツダは売上は上昇傾向であったのに,営業利益率は下降傾向です.そもそも営業利益率が高めで推移したことはないので,平常運転といえば平常運転ですが.この理由はブランドイメージ向上に向けた投資が主要因として挙げられます.

純利益

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1位:トヨタ.1兆8828億円
2位:ホンダ.6103億円
3位:日産.3191億円
4位:スズキ.1787億円
5位:スバル.1478億円
6位:三菱自動車.1328億円
7位:マツダ.634億円

ほぼ営業利益順で,大きな変化はありません.

小売販売台数

1位:トヨタ.1060万台
2位:日産.551万台
3位:ホンダ.532万台
4位:スズキ.332万台
5位:マツダ.156万台
6位:三菱自動車.124.4万台
7位:スバル.100万台
(グループ販売台数)

概ね売上高と似たような順位になっています.スズキは軽自動車や小型車がメインですので,一台あたりの売上が少なく,他の中堅自動車メーカーに比べて売り上げ台数が多くなっています.

近年の小売販売台数の推移(縦軸:百万台)

なお,トヨタは小売販売台数での内訳が発表されていませんので,販売台数での実績を示しています.販売台数では非連結会社における製造・出荷分がカウントされていませんが,非連結会社の殆どは中国合弁事業体ですので,小売販売台数と販売台数の差はおおよそ中国での販売台数と考えてもらって問題ありません.まずは3大自動車メーカーから比較します.
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トヨタ,日産,ホンダの3大自動車メーカーに注目すれば,トヨタは近年伸び悩んでいることが分かります.ただし,小売販売台数は増加傾向にありますので,中国市場の成長が近年の伸びを支えていると言えます.まさに全世界満遍なくと言える構成であり,自動車業界のリーディングカンパニーというのは伊達ではありません.

一方で,ホンダは販売台数を順調に伸ばしており,日産に肉薄しています.その伸びを支えているのはアジア圏での販売増です.ホンダは元々2輪事業において,東南アジア,インドで絶対的な地位を築いており,販売網・ブランド力が充実しています.その資産を利用して4輪事業も順調に販売数を伸ばし,アジア圏での販売台数は日産を上回っています.また,NBOXの販売が好調だという話を聞くと思いますが,高々25万台程度であり比率が高いとは言えません.しかし,日本における販売台数の1/3程度がNBOXだと考えると,日本市場での存在感が凄まじいことに変わりはありません.また,欧州での販売台数が少なく,かつ全く伸びがないことはホンダの特徴でもあります.

日産に関しては,アジア圏の中でも特に中国市場に特化していることが特徴として挙げられます.アジア圏の販売台数増は概ね中国市場での販売増であり,2019年3月期で156万台を記録し,日系首位となっています.一方で,北米・欧州における販売不振で2019年にマイナスに転じる結果となりました.北米需要の頭打ち及び適正販売台数への転換,欧州での環境規制の対応のためと報告されていますが,それだけでは説明できないほど販売台数が落ちているのは事実です.近年の不正問題によってブランド力を落としていることが根本的な問題と推測されます.

続いて,残りの中堅自動車メーカー4社の比較を行います.
※斜め網掛け部はスズキのみインド,他3社は中国での小売販売台数を示しています.
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マツダはブランド戦略の甲斐もあって様々な地域において販売台数を伸ばしてきましたが,近年は成長が頭打ちを迎えつつあります.特に2019年における中国市場での販売減は深刻であり,32.2万台→24.7万台と25%程度販売台数を減らしています.また,マツダの特徴は全世界に満遍なく販売できていることが挙げられます.


スズキの販売台数が他3社と比較して非常に多いことが分かります.これは先ほど記述した通り,小型車の販売が主で台数が出やすいためです.スズキの特徴は何といってもインドでの販売台数が過半を占めるということです.その成長度合いも著しく,2011年に113万台であったのが2019年には175万台と大幅に増加しています.逆にそれ以外の地域での販売台数は増えていません.インドは今後も大きな成長が期待できる市場であるので,インドに注力していることが伺えます.


一方で,スバルは北米比率が非常に高いことを特徴としています.2019年の北米比率は72%と驚異の数字をたたき出しています.近年の北米での成功によって販売台数を順調に伸ばしてきましたが,ついに2018年に頭打ちとなり減少に向かっています.北米市場が頭打ちとなる中,次なる一手を生み出せるか,正念場に入っています.


最後に,三菱自動車は長年100万台前後で推移してきましたが,ついに2018,2019年にその壁を突破しました.三菱自動車の特徴はアジアが過半を占めるということです.アジアの内訳として,中国だけではなくインドネシア,タイも同程度の販売台数を有しており,今後成長が見込める市場でプレゼンスを獲得しています.2004年のリコール隠し,2009年のリーマンショック,2016年の燃費不正など,回復が見込めた時期に不正や不景気が重くのしかかる展開が続いていましたが,体質改善が進み,ようやく成長へ舵を切り始めたと言えます.

協力関係の様子

トヨタ→マツダ・スバル,スズキと業務提携
日産・三菱・ルノー連合.
ホンダ→GMと業務提携.

それぞれの強み

トヨタ

  • 世界中での販売力.日系1位の国は,日本,米国,オーストラリア,欧州,タイ,インドネシアと世界各国に渡る.
  • 資金力.営業利益を見ればわかりますが,世界の巨大自動車企業と対抗しうる稼ぐ力があります.
  • Toyota Research Institute.自動運転に全力投資しています.3000億円以上.
  • 全固体電池.リチウムイオン電池より性能の良い電池で,特許数No.1.2020年代前半での実用化に目処がついている.

日産

  • 中国市場に強い.日系で1位.シェアは5.6%も.今後5年間95億ドル投資し,トップ3を目指す.
  • メキシコにも強い.36万台販売しており,日本の58万台に数年で追いつく見通し.
  • EV車(リーフ)が強い.2018年上半期においてEV/PHV/PHEV販売台数ランキングでNo.1.世界中でのEV需要取り込み可能.

ホンダ

  • 全地域に分散した安定した収益基盤.主要な市場でほぼ日系第2位のシェアを占めています.中国は日産,ホンダ,トヨタの順番です.東南アジアでは,トヨタの次点につけています.
  • NBOXがバカ売れしています.トレンドを捉えた開発力があります.
  • 二輪事業を行っていること.新興国においてバイクでブランドイメージを気付き,新興国が経済的に豊かになってくればそのまま販売網を四輪車に応用できる点に強みがあります.
  • 四輪以外での尖った技術.ホンダジェットやアシモなどのブランドイメージ向上要素.
  • 二輪の電動化.2018に世界で初めて量産化に成功.

三菱自動車

  • タイ・インドネシア・フィリピンなどアジア地域に強い.日産・ルノー連合が三菱自動車を吸収した理由の一つです.
  • 四輪駆動やPHEV+SUVに強み.今人気のSUVにプラスして,今後必ず流行るPHEVを組み合わせた商品に昔から特化して力をいれています.PHEVアウトランダーはEV/PHVの世界販売台数ランキング2018年上半期11位に.
  • 三菱重工業などの三菱系列の技術力を手に入れられる

マツダ

  • 海外売上比率が高く,かつ,1つの地域に傾倒していない.海外での販売台数比率が自動車会社の中でもトップクラスです.
  • 内燃機関技術が世界トップ.ガソリンエンジンにおける圧縮着火の実用化に世界で初めて成功し,燃費性能を30%改善します.2019年市場投入.トヨタが提携した理由の一つでもあります.
  • デザインが格好良い.すみません,個人的な意見です.

スバル

  • アメリカでの安定した地位.世界第二位の巨大市場アメリカでシェア3.5%.
  • ブランド力の高さ.アイサイトをはじめとした安全性能が非常に高く,宣伝も上手で安全ならスバルというイメージがついている(そういう印象を持ったファンが一定数いる)
  • アイサイト.スバルがアイサイトを搭載したことによって,衝突被害軽減ブレーキの普及が一気に進みました.
  • 高い利益率.営業利益率12.4%超優良企業です.高い経営手腕.

スズキ

  • インド市場で異常に強い.インドシェア42.9%.インドは数年で日本を抜き,世界第三の市場になると言われており,ここでシェア第一位は強みです.2030年にインドで500万台販売目標を掲げる.
  • 二輪事業を行っていること.ホンダに同じ.
  • 軽自動車に特化し,コスト削減レベルが高い.昔から徹底したコストカットを実現しており,安価な小型車を作ることに関して右に出るものはいません.

それぞれの弱み

トヨタ

  • 中国市場の出遅れ.日系第三位と日産,ホンダに出遅れています.

日産

  • 全固体電池.日産はEVに強みがありますが,全固体電池の特許数はトヨタがNo.1であり,立場が危うい.
  • 日本,中国,北米,メキシコ以外での存在感のなさ.他地域では殆ど売れていません.
  • フレームSUV,ピックアップトラックが弱い

ホンダ

  • 四輪で目新しい技術がない.おそらくシェア1位になれない理由の一つです.

三菱自動車

  • SUV+PHEV以外にいまいち強みがないこと.
  • アジア地域以外のプレゼンスが低いこと.

マツダ

  • EV方面の技術が乏しい.トヨタとの提携で解消する予定ではある.
  • 資金力が乏しい.そのためEVではなく,エンジンに資金を集中して技術をとがらせているとは言えます.

スバル

  • アメリカ・日本以外での存在感のなさ.販売台数の70%がアメリカです.
  • EV関連の技術がない.トヨタとの提携で解消するか.
  • 自動運転では無人運転を目指さない.

スズキ

  • インドに偏重しすぎ
  • EV技術がない.トヨタとの協業で解消できるか.

自動運転への取り組み

  • トヨタ→TRI.3000億円以上投資.
  • 日産→日産・ルノー・三菱連合で今後5年で10億ドル以上投資.
  • ホンダ→googleを傘下に持つalphabetの自動運転研究開発子会社Waymoとの協業を検討.まだ検討です.注意.
  • 三菱自動車→日産に同じ.
  • マツダ→トヨタとの協業.
  • スバル→トヨタと提携するが,自動運転で無人運転は目指さない.
  • スズキ→トヨタと協業.

カーシェアリングやライドシェアへの取り組み

  • トヨタ→Uberとのライドシェアリングサービスに5億ドル投資.アメリカを重視.
  • 日産→中国の配車アプリ大手である滴滴出行と協業.中国を重視.
  • ホンダ→ライドシェアで東南アジアを牛耳るグラブと提携.カーシェアで中国のリサーチスターと提携.中国・東南アジア重視.

将来性

以上のことを踏まえた上での予想ですが,

  • トヨタ→まだまだ伸びる.世界で一番争いをしていく.
  • 日産→不正問題に端を発した失速が顕著.
  • ホンダ→伸びるものの・・・.今後が心配.
  • 三菱自動車→アジア市場の成長ともに成長していく期待感
  • マツダ→まだ伸びる.エンジン車の需要がなくなることはなく,その圧倒的な性能は強み.
  • スバル→今がピークでは.利益率維持は難しい.自動運転で無人運転を目指さないのはやめるべき.
  • スズキ→まだまだ伸びる.インドでのシェアが強すぎる.

勤務地

  • トヨタ:愛知県豊田市.研究者は新富士の場合も.自動運転関連は東京.
  • 日産:神奈川県厚木,横浜
  • ホンダ:技術系→栃木県.デザインや先進技術の研究→埼玉県和光市
  • 三菱自動車:愛知県岡崎市.デザインは東京本社.パワートレインの設計生産で京都滋賀岡山も.
  • マツダ:広島県広島市付近.R&Dの一部が横浜に,生産拠点の一部が山口に.
  • スバル:群馬県太田市.パワーユニット等の電気系開発が東京事業所
  • スズキ:全て静岡県.浜松市など.

まとめ

いかがだったでしょうか?
おおよその自動車業界のイメージがつかめたかと思います.個人的な意見がかなり入っているので,気になった点は人事やOBOGに質問して,納得できる会社を選びましょう.
なお,参考文献は以下のページ書いてありますので,そちらから参照してください.

より詳しく知りたい企業があればこちらからどうぞ.
日産自動車
ホンダ
トヨタ
三菱自動車
マツダ
スバル
スズキ

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