【キャノンの今後と将来性】経営多角化でカメラ・印刷機頼みを脱却中【企業分析】

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キャノン株式会社

カメラやプリンタで有名なキャノンですが,デジタル化の潮流の中,実態はどうなっているのか.

就職先としてありなのかなしなのか見ていきましょう!

キャノンとは?

創業:1937年
売上高:3兆9519億円(連結)
従業員数:25866人(連結)
本社:東京都大田区

勤務地

研究開発の場合,基本的に神奈川県,一部栃木や茨城になります.
生産技術の場合は,大分県の可能性もあります.

事業情報

以下のグラフは特記していない限り「アニュアルレポート 2018」より引用しています.
(エクセルは資料に基づき作製したオリジナルです.)

キャノンの売上高・営業利益推移は以下のようになっています.
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売上高は横ばいで推移しています.特に2009年はリーマンショックによる世界経済の停滞や円高によって大幅な売上減を記録しました.2016~2017への売上高の急増は売上高4000億円規模の東芝メディカルシステムズを買収したことに由来します.近年の概況としては,プリンタ・カメラともにデジタル化に伴って売上減の傾向がある一方で,CTなどの医療製品や半導体露光装置の売上が増加傾向にあり,全体としては横ばいとなっています.

営業利益率は下降傾向にあります.ただし,下降傾向にあるといっても営業利益率は10%前後で推移しており,メーカー平均が5%であることを踏まえれば高い水準であることが分かります.この営業利益率の低下は主にオフィス用プリンタの売上減に対応できず営業利益が減少傾向であること,営業利益率が高くない産業機器その他の分野の売上比率が増してきたことが原因として挙げられます.

また,キャノンの純利益推移は以下のようになっています.
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営業利益と同様の推移をしていますね.カメラ事業の調子が良くないと言われて久しいですが,赤字となったことはありません.

また,キャノンはオフィスビジネスユニット,イメージングシステムビジネスユニット,メディカルシステムビジネスユニット,産業機器その他ビジネスユニットで構成されており,その売上比率は以下のようになっています.
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オフィスビジネスユニットがほぼ半分を占めています.これはキャノンの従来ビジネスですが,産業機器その他やメディカルなど,新規の事業の割合が30%を超えており多角化に成功してきていることが伺えます.

また国内・米州・欧州・アジアに売上が均等に25%ずつで分散しており,非常にグローバルな経営が為されています.

オフィスビジネスユニット

複合機(コピー,スキャン,プリント,ファックスの機能を統一した製品),レーザープリンタ,商業印刷などオフィス・ビジネス用の商品を取り扱っています.オフィスビジネスユニットの売上推移は以下のようになっています.
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売上・営業利益率ともに減少傾向にあります.近年のデジタル化推進・環境意識の高まりによって紙媒体での情報共有が減少しているためです.

近年の複合機の市場規模推移は以下のようになっています.
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複写機・複合機出荷実績(JBMIA集計)のデータをもとに作成)
リーマンショック前にピークを迎え,その後盛り返したものの以前の水準を上回ることなく,2014年前後でピークアウトしました.今後は緩やかに市場規模が減衰していくと推定されます.

また,レーザープリンタの市場規模に関しても同様の傾向を示しています.

よって,市場規模が縮小していく中でいかに効率的な経営を行っていくかが焦点になりつつあります.なお,現状では複合機世界シェア2位:18%,レーザープリンタ世界シェア1位:47%を記録しており,キャノンはオフィス用印刷製品の最大手であることが分かります.

なお,売上比率としては,複合機:38%,レーザープリンター:39%,商業印刷等その他:23%と複合機とレーザープリンタが主力です.

イメージングシステムビジネスユニット

レンズ交換式デジタルカメラ,コンパクトデジタルカメラ,インクジェットプリンター等を取り扱っています.イメージングシステムビジネスユニットの売上推移は以下のようになっています.
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リーマンショック前後まで堅調な伸びを示していましたが,その後横ばいとなり,近年は減少傾向にあります.一方で,営業利益率は15%前後という高水準で推移しています.新規参入が少なく,レンズの技術力自体が非常に高いことが理由として挙げられます.

今後はスマートフォンのカメラ性能の改善に伴って,市場規模は確実に減少していくと推定されています.オフィスビジネスユニットよりも急激な需要低下が懸念されており,市場規模に合わせた的確な経営判断が求められています.

なお,現状ではキャノンはカメラのリーディングカンパニーであり,レンズ交換式カメラ世界シェア1位:49%,コンパクトデジタルカメラ世界シェア1位:30%,家庭用インクジェットプリンター世界シェア2位:28%と圧倒的な存在感を見せています.

イメージングシステムビジネスユニットの売上構成比は,カメラ:60%,インクジェットプリンタ:32%となっています.

メディカルシステムビジネスユニット

CT,超音波診断装置,MRI等の画像診断装置を取り扱っています.記憶に新しい人も多いと思いますが,こちらは東芝から2016年に買収した部門です.売上推移は以下のようになっています.なお,2015年以前は東芝のメディカルシステム部門の情報を記載しています.2016年は過渡期にあたり,東芝とキャノンでは決算時期が異なるので,情報がありませんでしたが,業績上では大きな変化はなかったと推測されます.
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売上高は増加傾向,営業利益率は横ばいとなっています.東芝の虎の子と呼ばれた部門だけあって,安定した成長・収益を記録しています.

画像診断機器において国内シェア1位です.世界シェアは2011年において,CT:3位(18%),超音波診断装置:4位(11%),MRI:4位(12%)となっています.(みずほ総合研究所 報告書より)

GE,SIEMENS,PHILIPSの3社が世界市場の5割以上を占有しており,これらに対抗していく必要があります.上記資料を見ればわかりますが,市場規模はCT,超音波診断装置,MRIともに増加していく見込みであり,成長産業です.

東芝からすればこの部門を売却せざるをえなかったことは非常に悔やまれますね.

なお,国内企業で競合しているのは日立メディカルのみです.

産業機器その他ビジネスユニット

半導体露光装置や真空蒸着装置,ネットワークカメラなどを取り扱っています.売上高・営業利益推移は以下のようになっています.
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売上高は近年増加傾向にあります.2015年に監視カメラ最大手であるアクシス社を買収したことによって1000億円程度増加し,その後は旺盛な需要に支えられ,増収増益となっています.

営業利益率に関しては,赤字黒字を繰り返していましたが,近年は黒字でようやく安定しつつあります.

なお,世界シェアとして
半導体露光装置:32%(第2位)
FPD露光装置:49%(第2位)
監視カメラ:3.9%(第3位)
となっています.

いずれも成長産業であり,今後の成長柱と位置付けられています.

キャノンの強み

  • 世界シェアが高い製品が多い

複合機,レーザープリンタ,デジタルカメラ,露光装置,監視カメラなど世界有数のシェアを誇っています.

  • オフィス,イメージングシステムの利益率が非常に高い

市場的には縮小産業であるものの,まだまだ稼ぎ頭として機能しています.ここで稼いだお金で他事業に積極投資を行っていけます.

  • 米国における特許数世界3位,日本企業1位

トヨタあたりがもっと出てくると思っていたので,これは意外でした.キャノンが日本企業で最も米国特許を有しています.最先端技術を数多く保有している証拠です.

  • 売上地域の分散

日本,米州,欧州,その他がそれぞれ25%前後と安定したポートフォリオを築いています.

キャノンの弱み

  • 縮小産業が売上の7割を占めている.

市場が縮小しているオフィス,イメージングシステムの2ビジネスユニットで売上高の7割を占めています.特にデジタルカメラはスマートフォンの性能向上に伴って急速な需要減が見込まれます.また,オフィス用品についても,紙媒体で議論したほうが良い場面もあるため急速な減少はないと思われますが,環境意識の高まりからデジタル化推進が進んでいますので,全体としての売上減少は不可避でしょう.

  • 手元資金の減少

巨額買収を繰り返しているため,手元資金が減少しています.今後しばらくは大型買収を行うことは難しく,現状の組織体制で乗り切っていくしかありません.

キャノンの今後

中期経営計画から見る今後の施策

  • 商業印刷,ネットワークカメラ,産業機器,メディカルに4分野に注力
  • 縮小産業は一部成長領域に重点集中(一眼ではなくミラーレスなど)
  • 原価率45%の実現

キーポイント

  • 商業印刷,ネットワークカメラ,産業機器,メディカルに4分野に注力

何とか成長産業をM&A等により取得し,カメラ・複合機事業に代わる柱として成長させようとしています.ここからが本当の正念場と言えるところであり,この成長分野でシェアを堅持できなければ売上規模は減少していきます.
商業印刷は国内のリコーや富士ゼロックスなど,ネットワークカメラは中国企業と,メディカルは3大医療企業と対抗していかねばなりません.産業機器は現状ほぼ寡占ですので,安定的な成長が見込めます.

キャノンは就職先としてあり?なし?

  • 勤務地

研究開発の場合,基本的に神奈川県,一部栃木や茨城になります.
生産技術の場合は,大分県の可能性もあります.

  • 将来性

会社全体として,成長性という意味での将来性は高くはありません.複合機,プリンタ,カメラの売上減が足を引っ張ることは確実です.それ以外の事業に特定していえば,成長性という意味での将来性は高いです.存続という意味での将来性では,会社が無くなることはないでしょう.ただし,部門によります.複合機,プリンタの場合は商業印刷に集約されますが,人員をカバーしきれるはずもないので,切り売りか無理な配置転換,リストラが起こることは間違いないです.これら以外の部門に配置されることを祈るしかないですね.

  • 年収

778万円

関東周辺で働きたく,複合機・カメラ事業以外に興味がある方,あるいはカメラが大好きでともに沈んでもよい方にはありかと思います.


以上ご参考になれば.

他の企業はこちらから.
www.atoq.tokyo