【日立建機の今後と将来性】油圧ショベルを軸としつつアフターサービス拡大を狙う【企業分析】

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日立建機株式会社

建設機械メーカー第三位の日立建機
コマツに打ち勝てるのか

就職先としてありなのかなしなのか見ていきましょう!

日立建機とは?

創業:1970年
売上高:1兆337億円
従業員数:23,925人
本社:東京都台東区

勤務地

日立建機は日立製作所の一部門から分離した企業ですので,勤務地がかなり集積しています.
技術系→茨城県
事務系→営業は全国支店,間接部門は主に茨城県の各工場
茨城県が良い,関東にとどまりたい方にはお勧めですね.

事業情報

以下のグラフは特記していない限り「CSR&Financial Report2018」より引用しています.
(エクセルは資料に基づき作製したオリジナルです.)

日立建機の売上高は以下のようになっています.
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売上高は増加傾向にあります.リーマンショック以前においては旺盛な建設機械需要の増加に伴って急成長してきました.しかし,リーマンショックによって建設機械需要が激減し,その後回復してから横ばいの動きを見せていたので,10年程度はほぼ横ばいとなっています.そして,2016年にマイニング部門の強化を目的としてH-Eパーツ,Bradkenの2社を買収したことによって1000億円程度増加しています.2018年については建設機械需要の増加に売り上げを順調に伸ばしています.

売上が建設機械需要,特に日立建機の場合油圧ショベルに大きく連動しているので,以下に油圧ショベルのの需要推移を示します.
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(日立建機の公開資料より作製)
やはり相関が大きいことが見て取れますね.

また,営業利益推移は以下のようになっています.
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営業利益は長期で見れば横ばい,短期でみれば増加傾向にあります.リーマンショック以降は営業利益率を順調に改善してきましたが,買収費用の計上によって2016,17は大きく低下しています.一方で,営業利益率の高い2社を迎えたことで営業利益率10%を2018,19で達成しています.メーカーの営業利益率の平均は5%と言われており,非常に高い数値であることが伺えます.

また,純利益推移は以下のようになっています.
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営業利益推移と同様ですね.

日立建機はセグメント区分として,建設機械,マイニング機械,ソリューションサービスを採用しており,その比率は以下のようになっています.
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建設機械が大半を占めていることが分かります.

また,売上高比率は下図のようになっており,海外売上比率は79.9%となっています.
f:id:k-true:20190428164509p:plain

建設機械セグメント

マイニング機械(100トン以上の超大型油圧ショベル,150トン以上のダンプトラック)以外を一般建設機械と名称されています.近年の売上高は以下のようになっています.
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近年は売上高が増加傾向にありますね.これは世界的に建設機械需要が増加したためです.

日立の建設機械セグメントの特徴は油圧ショベル偏重であり,クローラー式油圧ショベルの世界シェアは1位です.その他には,ホイールローダ,リジットダンプ,林業機を取り扱っています.一方で,ブルドーザ,モーターグレーダー,アーティキュレートダンプの取り扱いはありません.

油圧ショベルの市場規模は5兆円前後であり,日本企業が世界に占める世界シェアは30%程度です(2009年のデータ).主要メーカーが数社あることを考えれば日立建機の世界シェアは10%程度と推測されます.よって,日立建機の油圧ショベル売上高は5000億円程度と推計できます.

したがって,油圧ショベルが売上の半分程度を占めています.建設機械の中で最も市場規模が大きい機種が油圧ショベルですので,ここで最大シェアを占めていることは大きな強みとなっています.

また,日立グループということで,日立製作所と積極的に共同研究を行っており,モータや電装関係については競合他社に対し優位性を有しています.最新のICT油圧ショベルの売上は好調であるようです.

マイニング機械セグメント

マイニング機械(100トン以上の超大型油圧ショベル,150トン以上のダンプトラック,ホイールローダー)を取り扱っています.売上高推移は以下のようになっています.
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近年は増加傾向にあります.鉱山への投資が継続的に行われていることが大きな理由として挙げられます.

日立建機は2000年前後にショベルで,2008年にダンプでマイニング分野に進出を果たしましたので,マイニング分野としては後発組になります.2019年度に無人ダンプの商用化を目指しています.

また,鉱山運行管理システム(FMS)に強みを有しており,業界2位の導入数を誇っているWenco社を完全子会社としています.

マイニング機械には露天掘り用と坑内掘りの2種類に分けられます.露天掘りは地上から逆円錐形に掘り進める工法であり,ダンプ,ショベル,ホイールローダーを主に使用します.一方で,坑内掘りはトンネルを掘り,地中において掘削を行う工法であり,主にコンティニュアスマイナーなどが用いられます.ラインナップからも分かりますが,日立建機のマイニング機械は露天掘りに限られます

露天掘りと坑内掘りは同様の市場規模を有しており,今後の進出が待望されています.

ソリューションサービス

ソリューションビジネスとは,買収したH-EパーツとBradkenから構成されるマイニング事業におけるアフターサービスビジネスです.消耗品や修理などが含まれます.ソリューションビジネスの売上高は次のように推移しています.
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2社を買収したことによって急激な売上増となっています.

マイニング機械自体は露天掘りに限られていますが,ソリューションサービスのラインナップは坑内掘りも存在し,坑内掘りのアフターサービスも含めて提案できることに魅力が存在しています.

なお,両者の買収意義に関して詳しく知りたい方はこちらを参照することを推奨します.
H-Eパーツ
Bradken

日立建機の強み

  • クローラー式油圧ショベルの世界シェアNo.1

油圧ショベルは建設機械のうち,最も市場規模が大きく,この分野でシェアが1位を取れていることは競争力があることを示しています.

  • 日立グループ

日立グループの一員であることから,日立製作所が有する最先端の技術,特に電装・情報技術を用いることが可能です.コマツやキャタピラーがこの分野の専業ではなく,外部から購入せざるを得ないことを考えれば,非常に大きなアドバンテージです.

  • 高い営業利益率

ここ2年は営業利益率が10%以上を達成しており,好調です.

  • 工場の一地域集中による生産能力の高さ

茨城県に日立建機の工場のほとんどが集約しており,生産性が非常に高くなっています.

  • 高い海外売上比率

80%程度の海外売上比率が存在し,市場規模が縮小していく日本の影響が小さいので,安心した経営を行っていけます.

日立建機の弱み

  • キーコンポーネントを自社製造していない

エンジン等を自社製造しておらず,自動車会社等に開発・製造を委託していると言われています.

  • ラインナップが狭い

フルラインナップメーカーのコマツ,キャタピラーと比較すると,建機のラインナップが狭いです.ブルドーザー,アーティキュレートダンプ,モーターグレーダ,露天掘りの油圧ショベルより巨大な採掘機械(ドラグライン等),坑内掘り全般を取り扱っていません.

  • マイニング事業の遅れ

露天掘りに対してはショベル,ダンプ,ホイールローダーを提供できていますが,坑内掘りに対してはノータッチです.今後は坑内掘りの需要が増加してくると予想されているので,一刻も早い対応が必要です.

  • 買収騒動

日立グループから売却されると報道されています.時期がいつになるか,また真偽のほども定かではありませんが,この報道が出た以上しばらくは社内・新卒に対して悪影響を与えることは間違いないでしょう.特に採用活動では日立グループというネームバリューと安定性があったからこそ就活生を引き付けられていた面も大きく,以前よりも苦戦を強いられることになります.

日立建機の今後

中期経営計画から見る今後の施策

2019年までの中期経営計画の公開が終了していたので,次の期間の策定・公開待ちです.公開されている情報だけを挙げていけば以下のようなものがあります.

  • 2019年度に無人ダンプトラック商用化
  • 2019年度終了時点で,バリューチェーン比率50%

キーポイント

  • 2019年度終了時点で,バリューチェーン比率50%

バリューチェーンとは新車販売以外の事業を差し,アフターサービス,中古車,レンタル,部品再生,ファイナンス等の事業を含みます.新車販売は景気の影響を顕著に受け,どうしても業績のボラタリティが大きくなります.そこで,バリューチェーンの比率を高めることで景気変動の影響を小さくした体制を築くことが可能です.建設機械業界全体として,このバリューチェーンを強化していく方針を打ち出しています.

日立建機は就職先としてあり?なし?

  • 勤務地

技術系→茨城県
事務系→営業は全国支店,間接部門は主に茨城県の各工場

  • 将来性

日立建機の将来性は高いと言えます.建機最大の市場規模を誇る油圧ショベルにおいて,強力な地位を築いており,またアフターサービス方面へ徐々に事業を拡大しています.かつてのような低営業利益率体質をほぼ脱したと言ってよく,当分は心配ないでしょう.一方で,中長期的に見た場合,コマツ・キャタピラーの2社に対抗していくためには,ラインナップの拡充が不可欠です.中型以下の油圧ショベルは確実に中国企業が幅を利かせてくることは間違いないので,コマツ・キャタピラーと異なり,ブランド力が小さい日立建機は安値競争に飲み込まれる可能性が高いです.よって,フルラインナップとし,ソリューション提供が可能な形態を築くことが重要です.ブルドーザーと坑内掘りを行っている企業を買収することが一番手っ取り早いと思います.

  • 年収

642万円.
コマツと比較すると低いようです.

コマツとの比較で書くのであれば,
関東にとどまりたく,油圧ショベルに力を入れて仕事をしていきたい方にはありかと思います.
コマツは勤務地が全国各地になりますが,日立建機の場合は茨城県にほぼ限定されるので,関東にとどまりたい方には良い企業です.また,油圧ショベルに関してはコマツよりも進んでいるので,そこに魅力を感じる方が良いと思います.

以上ご参考になれば.

他の企業はこちらから.
www.atoq.tokyo