【キリンの今後と将来性】高い国内シェアとオセアニア・東南アジアの海外飲料事業に強み【企業分析】

スポンサーリンク

スポンサーリンク

キリンホールディングス株式会社

ビールや氷結,午後の紅茶などで有名なキリンですね.

就職先としてありなのかなしなのか見ていきましょう!

キリンとは?

創業:1907年
売上高:1兆8637億円
従業員数:31033人(連結)
本社:東京都中野

勤務地

基本的に全国各地になります.
新卒採用に関しては,キリンビール,キリンビバレッジ,メルシャンなどが総合して採用されますので,配属によって勤務地はかなり異なります.
全国転勤可能な方が行くべきでしょう.

事業情報

以下のグラフ,図は特記していない限り「アニュアルレポート 2018」「DATA BOOK 2018」より引用しています.
(エクセルは資料に基づき作製したオリジナルです.)

キリンの売上高及び営業利益推移は以下のようになっています.
f:id:k-true:20181111143613p:plain
f:id:k-true:20181111143621p:plain
売上高はここ5年ほど横ばいとなっています.2016年でIFRS(国際会計基準)に変更されたので見かけ上は2015年から減少していますが,日本会計基準でみればほとんど変化はありません.セグメント間でみてもすべての事業が横ばいとなっていますので,成長戦略をうまく描けていないことが伺えます.一方で,営業利益は近年は増加傾向にあります.これは海外綜合飲料事業が順調に営業利益を伸長してきたこと,医薬・バイオケミカル事業が好転したことに由来します.その甲斐あって,営業利益率は10%を突破し,高利益体質へと変貌を遂げました.まだまだ安定していくには時間がかかると思われますが,傾向としてはよいほうへ向かっています.

キリンの以下のような事業を行っており,その売上高構成比は以下のようになっています.
f:id:k-true:20181111150032p:plain
売上高としては日本綜合飲料が過半を占めていますが,一方で海外綜合飲料がすでに20%を超えています.海外進出がうまくいっている様子が伺えます.また,営業利益の構成比は3事業でほぼ分散されており,安定した収益基盤を構築しています.

日本綜合飲料事業

f:id:k-true:20181118183248p:plain
(2016年が2つ表示されていますが,2016年以前が日本会計基準,2016年以降が国際会計基準となっているので両方表示しています.以下の2事業についても同様)
その名の通り,日本で販売している飲料全般を取り扱っています.売上高は概ね横ばいとなっています.これは主にビール類の売上が減少する一方で,チューハイや清涼飲料が好調に販売を伸ばしているためです.また,営業利益率は上昇傾向にあります.これは主にコスト削減に成功してきたためと言われています.ただそれでも海外綜合飲料事業,医薬・バイオケミカル事業の営業利益率(15%以上)と比較すれば小さいのが実情です.

概説は以上ですが,一番気になる分野だと思いますので,詳しく見ていきます.まず売上構成比ですが,キリンビール,キリンビバレッジ,メルシャンで以下のように分かれています.
f:id:k-true:20181118190631p:plain
キリンビールが60%,キリンビバレッジが30%,メルシャンが5%であることが分かりますね.

  • キリンビール株式会社

ワインを除く酒類を取り扱っています.下図が主力製品.
f:id:k-true:20181118192900p:plain
分類はビール(キリン一番搾り,キリン秋味など),発泡酒(淡麗など),新ジャンル(のどごし生,本麒麟など),RTD(氷結,本搾りなど)とされています.それぞれの違いの詳細は以下から参照してください.

酒類業界全体についての詳細については下記を参照してください.
https://www.atoq.tokyo/entry/drink-kongo
概説すれば,国内における酒類販売は減少傾向にあり,内訳としてはビール,発泡酒,新ジャンルが減少,RTDのみ増加となっています.したがって,市場の将来性自体は良いとは言えません.また,新たな動向として酒税法が改正され,ビール,発泡酒,新ジャンルの税率が2026年に統一されます.結果として現状との比較でビール→減税,発泡酒・新ジャンル→増税となり,酒類販売業者は利益率の高いビール回帰を見込んでいます.

キリンビールの近年の売上推移は以下のようになっています.
f:id:k-true:20181118235454p:plain
減少傾向ですね.業界全体の動向と同じ動きを示しており,ビール,発泡酒,新ジャンルが減少する一方で,RTDが増加していますがビール類の減少を補えるほどではなく,結果的に売上高は減少しています.国内人口が減少し,お酒を趣向する人の割合も低下してきているため,このような結果となっています.後は如何に効率的な経営を行っていくかにフェーズがシフトしています.実際に営業利益率は改善されているので良い傾向と言えるでしょう.

  • キリンビバレッジ株式会社

清涼飲料を取り扱っています.下図が主力製品
f:id:k-true:20181118233711p:plain
午後の紅茶や生茶,FIRE,キリンレモンなどがありますね.販売量的には午後の紅茶が主力(5000万ケース程度),生茶とコーヒー(それぞれ3000万ケース程度)が次点で続く感じです.近年の売上高推移は以下のようになっています.
f:id:k-true:20181119000358p:plain
横ばいか微増傾向にあります.業界全体でも清涼飲料生産量は増加か頭打ち気味ですので,流れに乗った順当な結果と言えるでしょう.2014年に営業赤字に陥ったのは,天候不順と競争激化による紅茶以外の製品(とくにお茶)の販売不振によるものです.生茶の刷新を行うことで販売量を持ち直し,営業利益率は改善傾向にありますね.

  • メルシャン株式会社

ワインを取り扱っています.自社のワイナリーを山梨県に有しているほか,輸入事業も盛んに執り行われています.近年の売上高推移は以下のようになっています.
f:id:k-true:20181119000914p:plain
横ばい傾向にありますね.国内のワイン需要が伸びていないため,順当な売上結果となっています.営業利益率が改善傾向にあるので,売上が拡大製図とも良い経営体制と変貌を遂げつつあります.

海外綜合飲料事業

f:id:k-true:20181118183303p:plain
その名の通り,海外の飲料事業全般を取り扱っています.オセアニアを担当するライオン株式会社(日用品のLIONとは違います)やミャンマーを担当するミャンマー・ブルワリー株式会社などが傘下に入っています.近年に限ってみれば売上高は減少傾向にあります.

これは特にオーストラリアでのシェアを落としたことが原因として挙げられます.しかし,オーストラリアでのビールシェアは40%,ミャンマーでは80%を占めており,特定地域に対して非常に高いシェア率を有しています.これらから推測できるように,キリンの海外進出はオセアニアやアジア地区がほとんどとなっています.飲料事業の海外売上のうち,オセアニア地区が78%となっています.

医薬・バイオケミカル事業

f:id:k-true:20181118183319p:plain
医薬品や健康食品を取り扱っています.協和発酵キリンや協和発酵バイオが傘下に存在しています.売上高は横ばいとなっています.一方で,営業利益率が非常に高く,2017年には18%を達成しています.しかも安定して高いのが特徴で,営業利益は他の事業と比較して遜色ありません.今後も安定して成長が見込める分野であり,キリンの隠れた支柱となっています.

キリンの強み

  • 国内シェア2位31.8%

ビール+発泡酒+新ジャンルの市場シェアは31.8%にも及び,アサヒビールに次ぐ2番手に位置しています.

  • 高い営業利益率

営業利益率は飲料メーカーの中でトップクラスであり,高い利益体質が伺えます.

  • オセアニアや東南アジアでの圧倒的な存在感

オーストラリアでのビールシェアは40%(100%子会社),ミャンマーでは80%(55%子会社),フィリピンでは90%(出資比率20%の持分法適用会社)とオセアニアやアジアで強いプレゼンスを有しています.オーストラリアは横ばいですが,フィリピンやミャンマーはまだ市場成長の余地が残されており,将来性が高い地域です.

  • 多角経営

医薬・バイオメディカル事業のことですが,サントリーやアサヒも健康食品には手を出しているものの,一つのセグメントとして確立できるほどの規模を有していません.その点でキリンは医薬・バイオメディカル事業が酒・清涼飲料に次ぐ第三の柱として十分に存在感を有しており,事業安定性が他社よりも高いです.

キリンの弱み

  • シェアを奪われ続けている

強みで国内シェア2位31.8%と表記しましたが,これはシェアを奪われ続けた結果です.過去はシェア1位でした.
f:id:k-true:20181119214343p:plain
1970年代にはシェアが60%を超えていたことを考えると,あれよあれよとシェアを奪われてきたことが分かります.

  • 炭酸飲料の存在感のなさ

お茶系,水,コーヒー系は良い位置につけていますが,炭酸飲料は目立ちません.キリンの炭酸飲料と言われてすぐ思いつきますか?キリンレモンやMETSがそうですが,三ツ矢サイダーなどと比べるとどうしても見劣りしてしまいます.

  • 成長性の乏しさ

利益率は上がってきているものの,売上規模が成長する見込みがあまりありません.今後,日本の人口減と健康志向に伴うお酒離れに伴ってキリンビール・キリンビバレッジが売り上げを伸ばす可能性は極めて低いです.また,海外も目下では減少傾向が続いています.医薬・バイオケミカル事業が頼みの綱ですが,他事業の売上減を補えるほど急成長できるとは思えません.

キリンの今後

中期経営計画から見る今後の施策

  • ビールのブランド化(価格競争からの脱却)
  • 成長市場のクラフトビール・RTDへの注力
  • ライオン事業の再生(ライセンス販売終了に伴う売上減に対して)
  • キリンビバレッジの高利益体質安定化(サプライチェーンやラインナップの刷新など)2021年までに営業利益率10%目標
  • 協和発酵キリンを主力事業へ(2020年に営業利益1000億円目標)

などを行っていくようですね.

キーポイント

  • 成長市場のクラフトビール・RTDへの注力

国内で唯一成長している市場としてこのクラフトビール・RTDがあります.趣向の多様化に伴って,ビール類からこちらに転換してきているとも言えます.この市場でしっかりとした地位を築いていけるかが重要になってきます.キリンは氷結などの強いブランドを有していますので,大きなミスをしない限り問題ない印象ではあります.

キリンは就職先としてあり?なし?

  • 勤務地

基本的に全国各地になります.
新卒採用に関しては,キリンビール,キリンビバレッジ,メルシャンなどが総合して採用されますので,配属によって勤務地はかなり異なります.
全国転勤可能な方が行くべきでしょう.

  • 将来性

酒類・飲料事業ともに国内では成長していくビジョンはあり得ません.だからと言って将来性がないという訳ではなく,縮小していく市場で如何に利益を大きく出していくかという経営に変化するので,斜陽ではあるものの潰れることはありません.シェア2位を築いており,安定的な業績を築いていけるでしょう.将来的にはフィリピンなどのアジアでの市場成長が見込めますが,日本の売上減を補えるほどにはならないです.協和発酵キリンが唯一の柱で,今後10年でここが営業利益の50%程度を稼ぐようになってくるのではないでしょうか.総括すれば,成長という意味での将来性は高くないですが,存続という意味での将来性は高いです.

  • 年収

??ホールディングスの有価証券しか発表されていないので謎です.
聞いた話によれば30で800万前後,35までに1000万といったところです.

他3社と比較して書けば
キリンブランドが好きな方or東南アジア・オセアニアでの海外事業に興味がある方にはありかと思います.
協和発酵キリンはキリン内では一大勢力ですが,医薬業界で考えれば他に良い会社があるのでここに絞る必要はないと思います.グループとして大切にしてくれるとは思いますが.

以上ご参考になれば.

他の企業はこちらから.
www.atoq.tokyo