【HISの今後と将来性】海外旅行に強み.新規事業で安定した利益基盤を築けるか【企業分析】

株式会社エイチ・アイ・エス

JTBと同程度の知名度を誇るHIS
JTBと違ってHISは上場しています.

就職先としてありなのかなしなのか見ていきましょう!

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HISとは?

創業:1980年
売上高:6060億円
従業員数:16932人(連結)
本社:東京新宿

勤務地

総合職とエリア総合職を選択できます.エリア総合職はそのエリアからの転勤はなしですが,総合職は全国転勤ありとなっています.

事業情報

以下のグラフは特記していない限り「コーポレートレポート 2018」「2017年10月期決算説明会」より引用しています.
(エクセルは資料に基づき作製したオリジナルです.)

HISの売上高・営業利益推移は以下のようになっています.
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売上高は増加傾向にあります.2009年にリーマンショックの影響で一時的に落ち込んだものの,それ以降は順調に売上を伸ばしています.これは様々な企業をM&Aしてきた影響も含まれますが,基本的には旅行事業が好調に推移しているためです.また,営業利益も増加傾向にあります.売上高とほぼ同様の推移を辿っていますね.また,注目すべきは営業利益率も上昇傾向にあることです.すなわち,売上高の上昇,つまり規模の拡大に合わせてスケールメリット上手く利用して効率的な運営を行えていることが分かります.営業利益率は2%以上で安定しており,これはJTBが営業利益率1%前後で推移していることを考えれば非常に良い数値となっています.また,純利益推移は以下のようになっています.
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純利益も売上高と同様の傾向を示していますが,2016年のみ急落しています.これはフランスでのテロの影響により,高単価な欧州向けの旅行事業が低迷したこと,為替の変動に依るものです.為替の変動で67億の損失がでていますので,この割合が最も大きいですね.一過性の影響ですので,気にする必要はありません

HISは以下のような事業を行っており,その構成比は以下のようになっています.
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多角化を図っているものの,旅行事業が圧倒的であることが分かりますね.

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HISの各事業詳細

旅行事業

HISでイメージされるそのままの旅行事業です.旅行事業は上記したように非常に好調です.特徴としてHISは海外旅行に強みを有しています.HISの国内旅行取扱高は598億円,海外旅行取扱高は3921億円であり,海外旅行に活路を見出していることが分かります.以下はHISの海外旅行取扱高とそのシェアの推移です.
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取扱高・シェア共に見事に右肩上がりですね.2017年の取扱額は3921億円で2位に位置しており,海外旅行取扱額はJTB(5955億円)に年々差を詰めています.また,訪日外国人は近年急速な勢いで伸びており,2017年で約3000万人を記録し,2020年には4000万人に到達すると見込まれています.そんな訪日旅行に対してもHISは確実に利益を伸ばしています.
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また,近年はオンライン旅行代理店の台頭で厳しい戦いが強いられており,HISもオンラインでの旅行予約比率を増加させています.
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今後も店舗の割合は減少が続き,インターネットの割合が増加していくことは間違いないでしょう.ここに対応していけるかで成長度合いは異なってきます.また,M&Aによって販路を拡大していることも特徴としてあります.近年ではミキグループ(日本初欧州旅行に強み)やメリットトラベル(カナダで旅行事業を展開)を買収しました.その結果,海外顧客を対象とした事業も右肩上がりとなっています.
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ハウステンボスグループ

2010年にハウステンボスグループを買収し,現在はHISが運営を行っています.ハウステンボスは2010年まで入場者数が右肩下がりでこのままでは廃園すると噂されていましたが,HISに買収されて以降V次回復しています.
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また,ハウステンボス事業は営業利益率が良いことが特徴であり20%(売上高:367億円,営業利益:76億円)もあります.実は総営業利益の50%を稼ぎ出しています.為替やテロによる旅行事業のリスクを吸収してくれる優良事業です.無人島開発や水上ホテル,4Kプロジェクションマッピングなど世界初の試みを行っており,今後も安定して集客を伸ばしていけそうです.

ホテル事業

ホテルを経営しています.ハウステンボス周辺のホテルやリゾート地にホテルを構えています.また,最近では面白い試みである「変なホテル」を経営しています.ロボットで接客されたり,空中ディスプレイを採用するなど話題になっています.

九州産交グループ

九州の都市開発を主に担当しています.

運輸事業

航空機のチャーター便を取り扱っています.

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HISの強み・弱み

HISの強み

  • 進出国数No.1

71カ国305都市に展開しており,これは世界の旅行業者の中でNo.1となっています.JTBは39カ国143都市ですので,展開国数では圧倒していますね.

  • 高い営業利益率

JTBや日本旅行など他の旅行事業者よりも高い営業利益率をたたき出しています.効率的な運営を行える経営力があることを示しています.また,ハウステンボスグループの存在が大きいですね.

  • 海外現地法人売上高1位

海外顧客を対象とした,日本以外の旅行事業での売上はHISがトップとなります.進出国数No.1が強みであることを活かして,今後活発化するグローバル事業に焦点を当てています.

  • 高い成長率

JTBは近年横ばいの成長を続けていますが,HISは年々売上高を伸ばしており,高い成長率を有しています.

HISの弱み

  • 国内旅行に弱み

国内旅行はJTB,楽天が牛耳っており,入り込むことができていません.もっともJTBと差別化する目的で海外旅行に焦点を当てているので,国内旅行を積極的に伸ばしていこうという気概はありませんが

  • 年収が低いことからの優秀層の取り逃し.

有価証券報告書によると413万円.JTBは500万超.この差は決して小さくないと思います.海外旅行に強みがあるので,採用段階ではやりがいを重視した優秀層を集めていると思いますが,数年働き始めたあとで結婚を意識し始めた場合,やっぱり給料は大事だとなることが多々あります.そうなった場合,JTBや他企業への転職という道をたどることになり,優秀層が一定数抜けてしまいます.ここはさすがにもう少し改善したほうが良いと思います.

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HISの今後

今後の施策

  • オンライン事業強化
  • 訪日事業の拡大
  • M&Aによる事業拡大
  • ハワイ,欧州向けでNo.1に.
  • ハウステンボスの無人島開発など新しい試み
  • ホテル事業を100件に拡大(現在30件)
  • 新規事業展開(電力事業,ロボット事業,ARなど)

を行っていく予定です.

キーポイント

  • オンライン事業強化

オンライン旅行代理店が次々と出現してきており,このオンライン事業の強化は欠かせません.今後5年の成長を左右する重点分野だと思います.

HISは就職先としてあり?なし?

  • 勤務地

総合職とエリア総合職を選択できます.エリア総合職はそのエリアからの転勤はなしですが,総合職は全国転勤ありとなっています.

  • 将来性

将来性はあると思います.海外事業に目を向けており,今後人口が減少していく日本でも安定的に利益を稼げる地盤を築けていると思います.また,「変なホテル」や「無人島開発」など斬新な試みが複数なされており,旧態依然とした体制を脱却しようとする意気込みを感じます.個人的にはJTBよりHISのほうが将来性があると推測します.

  • 年収

413万円.低い

旅行会社の中でいえば,
給料が低くても,海外事業に携わりたい方にはありかと思います.
JTBに比べるとどうしても給料は低いですが,JTBは国内旅行が多く海外事業の企画に回される確率はどうしても少なくなってしまいます.海外事業に携わる確率を高めたい方はHIS一択でしょう.HISで海外事業の経験を積んで,JTBに転職するのが一番良いルートかもしれませんね.

以上ご参考になれば.

他の企業はこちらから.
www.atoq.tokyo

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