株式会社クボタ
日本で最大の農機メーカーですが,
果たして実態はどうなっているのでしょうか?
就職先としてありなのかなしなのか見ていきましょう!
株式会社クボタとは?
創業:1890年
売上高:1.596兆円
従業員数:38291人(連結) 11,123人(単独)
本社:大阪市浪早区
事業内容:農業機器事業,水環境事業
大阪に本社があることがまず特徴ですね.
製造所は全て大阪に存在し,工場は関西と京葉地帯に分かれて存在しています.
おそらく区分として研究開発がある部署を製造所,生産のみを行う部署を工場として分類していると思われます.
そのため,学部卒・院卒であれば関西勤務になる可能性が非常に高いです.
クボタの強みはやはり,日本という稲作の土壌で育ってきた企業というだけあり,
稲作を主体とするアジアでトップシェアを誇ることです.
また,今後は畑作にも力を入れていくために
2016年にアメリカ農作業機器メーカーグレートプレーンズを買収しています.
以下のグラフは全てクボタのホームページより引用しています.
また,海外売上比率は65.5%にのぼり,グローバルな事業展開を行っています.
日本の市場が縮小していくなかでこれだけ海外売上比率を高められているのは素晴らしいと思います.
続いて部門別売上高に関してですが,機械が75%,水20%といった感じになっています.
やはり農業機械,建機に傾倒した状況であるのは確かです.
さらに,年度ごとの売上高を見てみましょう.
機械部門
水環境部門
どちらの部門もここ数年はほぼ横ばいであることが分かります.
逆にクボタの弱みは何なのかと言えば,
大型の農業機械を作る技術を有していないことが挙げられます.これは日本のどの農機メーカーにも当てはまることです.たとえば,クボタの場合トラクターの最大馬力は170馬力ですが,John Deereのトラクターの最大馬力は600馬力です.
単純に馬力で大きさの比較はできませんが,それでもある程度の指標にはなります.
John Deereのホームページの写真を見ていただければその大きさがいかほどかわかります.
*1
クボタの今後
クボタは中期経営計画において,2019年に売上高2兆円とする目標を掲げています.
こうした目標を達成するために,
- 大型農業機械開発のためのR&D強化
- インド事業の強化
- 農業総合サービス事業の展開
- 水環境事業の見直し,利益追求へ
- IT化
などを行っていくようです.
売上高をさらに高めていく中で水環境事業を利益追求に転換するのは少し疑問符ですが,現状としてこれ以上市場を拡大していくのは難しいと判断したのでしょう.
個人的には今後クボタにとって重要となってくるのは
- 大型農業機械開発のためのR&D強化
- IT化
だと思っています.
まず,John Deereなどの世界トップクラスの農機メーカーはまだあまり稲作には特化していませんので,クボタはアジアでのシェアを確保できています.しかし,今後食糧需給がひっ迫していく中で稲作の需要も高まると判断された場合,John Deereなどの世界トップクラスの農機メーカーたちが稲作用の農機販売を行いだすかもしれません.そうした中で従来通りの売上高を確保していくためには,クボタも大型農業機械を開発して,畑作での需要を少しでも奪っていく必要があります.
また,ICT化がそこら中で騒がれており,特に農業産業はICT化が最も見込みがある分野だと考えられています.というのも,既存の室内設備において,植物の状態を観測するセンサー群は次々と実用化されており,さらにドローン技術が発達してきた今日では屋外設備においても同様のセンシングが可能となるので,自動化を推し進めることが可能だからです.この自動化の波に乗り遅れた場合,海外企業に瞬く間にシェアを奪われる可能性があります.
トラクターの自動運転技術に関しては,自動車企業と協業していくのも一つの手ではないでしょうか.
この2つにしっかり対応していくことができるかが今後,世界のトップシェアを握っていくためのカギだと思います.
ただ,楽観的に考えればこれからも世界的には人口が増えていくため,食料需要は増え続けます.
そうした中で効率的に生産するための農耕機械の需要は自然と増えていきます.
したがって,市場の成長に伴って自然と売上高がある程度は増加することが見込まれます
就職先としてあり?なし?
個人的にはありだと思います.
特に関西に住みたいと思っている方にはとてもオススメできる企業です.
上記しましたが,人口増からの食料需要増,さらに農業機械需要増の流れは間違いなく発生するため間違いなく成長が期待できる企業です.
それに世の中では食料戦争云々が起こると言われていますが,そうなったときクボタに勤めていると安心して食料を得られるかもしれません(笑)
まぁ,大型機械への対応とIT化に対応していかなければならないので,苦労の多い状況だとは思います.
ただ,逆に考えればまだ成されていない明確な目標があるので,開発者としては非常にやりがいのある環境ではないでしょうか.
また,平均年収も792万と言われており,大卒・院卒に限ればめちゃめちゃ貰っていることが予想されます.
農業に興味があり,かつ,関西に住みたいのであれば第一志望にしてよいかと思います!
以上ご参考になれば.
他の企業はこちらから.
www.atoq.tokyo
*1:「John Deereホームページ 9R/9RT/9RX Series Tractorsパンフレット」より