【丸紅の今後と将来性】食料や電力分野に強み【企業分析】

丸紅株式会社

5大商社の一角を成す丸紅.

就職先としてありなのかなしなのか見ていきましょう!

丸紅とは?

創業:1858年
収益:7兆5403億円
従業員数:41353人(連結)
本社:東京

勤務地

基本的に東京本社勤務となります.
その他に中部,関西,支社があり,若干名配属される予定です.
あとは業務に合わせて国内,海外問わず多数の出張や駐在が考えられます.

事業情報

以下のグラフは特記していない限り「統合報告書 2018」より引用しています.

丸紅の収益・売上総利益推移は以下のようになっています.
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なお,単語が分からない方はこちらの記事を先に見ていただくと分かりやすいと思います.
商社の業績の見方.収益,売上総利益,純利益とは.営業利益はどこ? – AtoQ
収益・売上総利益ともに横ばいとなっていることが分かります.すなわち,最近は規模を拡大できていないことを表しています.効率の良い投資を心掛けていることから規模を追い求めているわけではないと考えられます.
また,純利益推移は以下のようになっています.
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2018年は過去最高益を達成しました.また,2016年は資源価格の低迷により下落していますが,黒字を確保できています.三菱商事や三井物産は資源分野の割合が高く,ここで大きな赤字を出したことに比べれば,資源に頼りすぎない安定した経営ができていることを示しています.

丸紅は以下のような事業を行っており,その純利益構成比は以下のようになっています.
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1つの分野に偏ることなく満遍なく利益を出していることが分かります.これは他の総合商社にはない特色ですね.

食料グループ

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穀物(小麦,大麦,トウモロコシ,大豆,コーヒー豆など)や食品(牛肉など)を取り扱っています.穀物取扱量は総合商社No.1です.純利益は前年度より下落してしまっているものの,十分な利益を稼いでいます.
【主要な事業・関係会社】

  • コーヒー生豆の日本輸入シェア30%
  • Gavilon Agriculture Investment(アメリカでの穀物・肥料等の集荷・販売.出資比率100%)
  • 丸紅食料(出資比率100%)
  • 日清オイリオグループ(出資比率15.2%)

生活産業グループ

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ライフスタイル(衣料,フットウェア,雑貨)や住宅開発・リノベーション,マンション管理,保険販売,携帯情報端末店舗,モバイル通信サービス,インターネットサービスを取り扱っています.純利益は前年より微減しています.
【主要な事業・関係会社】

  • 丸紅情報システムズ(SIer.出資比率100%)
  • MXモバイリング(携帯端末販売.出資比率100%)
  • 中国において,日系初となる多数の住宅供給事業

素材グループ

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農業資材や各種化学品を取り扱っています.特に北米におけるHerena社の事業が好調で,前年より大幅な増益となっています.最終的にHerena社で北米1位を目指している様子.
【主要な事業・関係会社】

  • Herena社(北米の農業資材リテーリング分野において第2位.出資比率100%)
  • オレフィン(エチレン,プロピレン,ブタジエンなど)トレードで世界シェア30%
  • オルファインターナショナル社(欧州最大級の飼料機能材販売会社.出資比率60%)

エネルギー・金属グループ

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金属(鉄鉱石,銅,アルミ,石炭など)や石油,LNGなどを取り扱っています.2017年は原油安の影響を受けて赤字に転落しましたが,現在は大幅に持ち直しています.
【主要な事業・関係会社】

  • ENEOSグループ(出資比率20%)
  • 伊藤忠丸紅鉄鋼(出資比率20%)
  • 持分権益銅量15万トンと日本企業トップクラス

電力・プラントグループ

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電力,水,オイル&ガス,交通インフラ,産業プラントなどを取り扱っています.純利益は原料価格の高騰から減少しています.電力本部を今後の中核にしていく方針を掲げている.
【主要な事業・関係会社】

  • 日本企業としてトップクラスの発電容量
  • 水ビジネスサービス対象人口1300万人

輸送機グループ

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航空機・建機・自動車を取り扱っています.純利益は前年に比べ微増しています.
【主要な事業・関係会社】

  • Marubeni Aviation Holdings(航空機リース.232機保有)
  • 丸紅テクノシステム(産業機械の輸出入)
  • MAC Trailer leasing(PLM)(米国における冷凍・冷蔵トレーラーのリース)

丸紅の強み

  • 食料分野

穀物取扱量が国内No.1となっているように,食料分野に非常に力をいれています.食料分野とシナジーのある飼料・肥料にも力を入れており,食料関連では圧倒的です.

  • 電力分野

電力の発電容量は国内企業No.1です.電力を今後の中核事業の1つとして設定しており,今後も重点的に投資していくと思われます.

  • 安定した収益基盤

一つの事業に偏ることなく,全ての事業で稼ぐ力を有しています.その結果,一つの事業で赤字を出したとしても,他5つの事業で支えられ,極めて安定した経営を可能としている.

丸紅の弱み

  • エネルギー・金属分野

他の企業に対して規模を小さく抑えている印象です.市況に影響されないポートフォリオを作製するためだと思われますが,今後は資源の高騰が予想されており,そこで他社と引き離される可能性があります.

丸紅の今後

中期経営計画から見る今後の施策

丸紅は事業の分類として以下を採用することを決めました.

  • セールス&マーケティング事業(アグリ関連事業,ディストリビューション(食品,化学品,輸送機等))

地域・分野・商品等の広がりが見込め,長期的な収益拡大およびシェア向上を目指す事業.マジョリティ投資(出資比率が50%を超える投資)のみ行う.

  • ファイナンス事業(リース事業,販売金融事業)

同上だが,マジョリティ投資を主体としつつも時としてマイノリティ投資を行う.

  • 安定収益型事業(インフラ事業)

マイノリティ投資

  • 資源投資

マイノリティ投資.市況の影響を抑えるため,一定以下での投資を行う.

これらに対して,直近の投融資額は以下のように分配されました.
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今後もこのような分配は継続される見込みであることを考えれば,丸紅が最も重視しているのは,セールス&マーケティングと安定収益型事業,特に食料・電力です.

キーポイント

  • 食料分野

食料需要は言うまでもなく人口増加や新興国の発展に伴って拡大し続けており,ここでプレゼンスを維持し続けることが重要です.

丸紅は就職先としてあり?なし?

  • 勤務地

基本的に東京本社勤務となります.
その他に中部,関西,支社があり,若干名配属される予定です.
あとは業務に合わせて国内,海外問わず多数の出張や駐在が考えられます.

  • 将来性

潰れることはまずない.資源分野の割合を抑え,確実な需要が見込める食料・電力に注力していく方針ですので,今後の需要拡大に伴って成長が期待できます.他の商社に比べて特定分野への傾倒が今のところ少なく,最も安定した経営基盤を有していると考えられます.

  • 年収

1322万円

  • その他

丸紅は寮ではなく,借り上げ社宅制度

食料分野あるいは電力分野に興味がある方にはありかと思います.
食料と電力は総合商社内でトップであり,この分野に興味があるのであれば丸紅一択だと思います.また,北米に出張したい!っていう方にとっても農業資材関連を選択すれば可能性が非常に高いのでありだと思います.

以上ご参考になれば.

他の企業はこちらから.
www.atoq.tokyo

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