【三菱商事の今後と将来性】No.1商社.どんな事業を行っているのか【企業分析】

三菱商事株式会社

日本の商社でトップの三菱商事ですが,いったいどんな企業なのでしょうか.

就職先としてありなのかなしなのか見ていきましょう!

三菱商事とは?

創業:1954年
売上高:7兆5674億円
従業員数:77,476人(連結)
本社:東京

勤務地

世界各国の事業所に出張・駐在することが多いです.
日本にいる間は,基本的に本社である東京丸の内勤務になります.

事業情報

以下のグラフは特記していない限り「統合報告書2017」より引用しています.

三菱商事の収益・売上総利益推移は以下のようになっています.なお,単語がピンとこない方は以下をご参照ください.
商社の業績の見方.収益,売上総利益,純利益とは.営業利益はどこ? – AtoQ
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なお,収益は2013年に国際会計基準を用いているため,正確に比較することはできないです.ただしそれ程大きな違いはありません.
収益は世界景気の影響を受けることが大きいです.リーマンショック後は世界的に企業活動が落ち込んだために,三菱商事の売上高も大幅に下落していますね.近年は盛り返してきており,リーマンショック以前より高い水準で推移しています.
一方で,売上総利益はそこまで大きな変動を受けていません.安定して1兆円以上を稼いでいます.事業自体は非常に好調であることが伺えます.

また,商社は存亡の危機があった背景から純利益を非常に重視しています.統合報告書等でも純利益ベースで話が述べられています.三菱商事の純利益推移は以下のようになっています.
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見て分かるように近年では赤字に陥ったのは2016年度のみで,黒字経営が続いています2016年度の赤字転落の原因は世界的な資源不況に原因があります.特に世界最大規模のチリ銅鉱山における損失が大きく,2800億円の損失を計上しています.しばらくはこの銅鉱山による損失は出ないでしょうが,今後どうなっていくのかは注視していく必要がありそうですね.こういったことが契機となって資源重点からの脱却施策が行われています.一方で,最新の2018年3月期決算では,過去最高益となる5500億円を記録しました.

三菱商事は以下のような事業を行っており,その純利益構成比は以下のようになっています.
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金属と生活産業が三菱商事の2topとなっていることが分かりますね.

地球環境・インフラ事業グループ

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電力事業(火力,風力など),インフラ事業(FPSO,空港運営,水事業),環境事業(太陽光発電,電池関連,電力トレーディングなど)を取り扱っています.売上総利益は横ばいとなっています.
【主要な事業・関係会社】

  • 千代田化工建設(出資比率33.3%.日本の3大エンジニアリング会社の1つ)
  • ミャンマーのマンダレー国際空港運営事業
  • ドバイ本社Metito Holdingsによる水事業

新産業金融事業グループ

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企業投資,リース,不動産・都市開発,物流などを取り扱っています.売上総利益は横ばいとなっています.
【主要な事業・関係会社】

  • 三菱UFJ銀行と共同で企業投資銀行(Marunouchi Capital)を設立.
  • 国内最大級の航空機リース事業を展開(MCアビエーションパートナーズ)
  • 三菱UFJリース(出資比率20%)
  • 不動産開発事業(Diamond Realty investment社)

エネルギー事業グループ

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石油・天然ガスを取り扱っています.LNGに力を入れていく考え.売上総利益は増加しています.
【主要な事業・関係会社】

  • 2018年に米国でCameron LNGの立ち上げ予定
  • 2018年にオーストラリアでWheatstone LNGの立ち上げ予定.
  • 合計して,779万トンLNGの生産能力を占める.(ちなみに日本の輸入量は9000万トン程度)

金属グループ

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金属資源(炭,銅,アルミなど)や鉄鋼製品を取り扱っています.純利益構成比第1位です.前年の大赤字から一転して黒字化に成功しています.
【主要な事業・関係会社】

  • 世界最大規模の原料炭事業(BMA事業.出資比率50%)強粘結炭の世界シェア3割
  • チリ銅山事業.生産能力200万トン程度(世界の銅生産量は2000万程度).出資比率は10%程度.
  • ペルー銅・亜鉛事業

機械グループ

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産業機械(エレベータ―,産業設備,建設機械など),船舶,航空宇宙製品,自動車(三菱自動車,いすずが主)を取り扱っています.売上総利益は減少しています.
【主要な事業・関係会社】

  • 三菱自動車(出資比率9.23%)
  • いすず(出資比率:8.07%)
  • ドローン事業(スカイマティクス社)

化学品グループ

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石油化学品,基礎化学品(アルカリ系,アルコール系,塩化ビニール,無機化学系,肥料),ライフサイエンス(食品化学など)を取り扱っています.売上総利益は横ばいとなっています.
【主要な事業・関係会社】

  • 三菱商事ライフサイエンス社
  • 世界最大規模の生産量を誇るベネズエラのメタノール製造会社METOR
  • 三菱商事プラスチック

生活産業グループ

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食品原料,リテール事業,ヘルスケア事業を取り扱っています.金属グループに並ぶ純利益構成比第2位です.売上総利益は減少となっていますが,純利益は大幅に増加しています.
【主要な事業・関係会社】

  • ローソン(出資比率50%.子会社)
  • 世界第3位の生産量を誇るサーモン養殖加工会社Cermaq(出資比率100%)
  • 三菱食品(出資比率60%)

正直,何でもやりすぎているので書ききれません.気になったグループについて詳しく調べてみてください.アニュアルレポートに詳しく現在行われている事業について記載されています.

三菱商事の強み

  • エネルギー・金属に強み

日本の商社の中では,エネルギー・資源への投資が最も大きいです.具体的には,LNG,銅,炭です.実際に日本のLNG輸入量の10%を賄えるほどの生産量を有していますし,世界最大規模の炭事業を有しています.資源価格の変動はリスクではありますが,世界的な需要は高まるばかりであり,過剰生産とならない限り問題はないでしょう.
銅の価格は近年急激な高まりを見せています.なお,三菱商事は,こういった資源価格に依存しやすい事業を市況系と定義し,全体の3割にとどめる方針を打ち出しています.

  • 食品産業に強み

ローソンや三菱食品を有していることから,その強さが分かります.

  • 総合力がある

一事業に傾倒していないため,安定した経営基盤を有しています.

三菱商事の弱み

  • 市況の影響を受けやすい

まだまだ資源比率が高いので,市況の影響を受けやすく,時には2016年のように赤字に転落してしまうことがあります.これから事業系を7割まで高めて安定化を図っていくようです.

三菱商事の今後

中期経営計画から見る今後の施策

三菱商事が将来の柱と位置付けているのは下記になります.

  • 食品原料
  • 自動車
  • LNG
  • リテール
  • ガス&電力
  • 金属資源

キーポイント

  • 自動車

三菱商事が今後特に力を入れていく分野として自動車を上げています.三菱自動車が日産・ルノー連合傘下に加わったことで,世界展開が容易となりました.ここに自動運転技術が加わることによって,世界的なシェアリングサービスを行っていくことができると考えられます.

三菱商事は就職先としてあり?なし?

  • 勤務地

世界各国の事業所に出張・駐在することが多いです.
日本にいる間は,基本的に本社である東京丸の内勤務になります.

  • 将来性

潰れることはまずない.まだまだ従来の商社のような仲介ビジネスは残ってはいるものの,その比率は大分小さくなってきています.事業投資を行い,自ら経営を行うことが多いため,昔にささやかれた商社不要論とはもうならないでしょう.今後は事業投資の側面が益々つよくなり,いずれは投資会社のようになっていくのではと予想される.

  • 年収

1540万円.トップクラスですね.

エネルギー・金属or食品産業に興味があり,グローバルで働ける方にはありかと思います.

以上ご参考になれば.

他の企業はこちらから.
www.atoq.tokyo

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