日清食品ホールディングス株式会社
カップヌードルで有名な日清食品
就職先としてありなのかなしなのか見ていきましょう!
日清食品とは?
創業:1948年
売上高:5164億円
従業員数:12102人(連結)
本社:東京
勤務地
本社→東京,大阪
営業所→全国各地
工場→茨城,静岡,滋賀,山口
研究所→東京都八王子
日清食品では4コースに分かれて募集されてますが,
ブランド・クリエーションコース→本社
ビジネス・イノベーションコース→本社・営業所
R&Dコース→研究所
生産技術コース→工場
となると思われます.
事業情報
以下のグラフは特記していない限り「アニュアルレポート 2018」より引用しています.
(エクセルは資料に基づき作製したオリジナルです.)
日清食品の売上高・営業利益推移は以下のようになっています.
売上高は増加傾向にあります.近年の売上高増加は主に,日清食品による国内販売の好調と海外進出によるものです.また,一部ではM&Aが行われており,2006年には明星食品を買収し,2015年には味の素との共同出資だったブラジル事業を買収し,完全子会社としています.
営業利益は横ばい傾向にあります.海外事業が未だ投資段階にあり,中々利益を出しづらい状況となっています.海外事業の規模が拡大するにつれて,海外比率が高まった結果,営業利益率は低下する傾向となっています.海外でのブランド価値の確立が急がれます.
日清食品は以下のような事業を行っており,その売上構成比は以下のようになっています.
日清食品が45.1%と最大となっています.また,海外売上比率が23.7%であり,まだまだ日本偏重の経営業態となっています.
日清食品
国内向けの即席麺等を取り扱っています.主要ブランドとしては,「CUP NOODLE」「どん兵衛」「チキンラーメン」「日清ラ王」「麺職人」「U.F.O.」等があります.日清食品が中核会社なので,下記事業に対する出向もあり得ます.
日清食品の売上高・営業利益率推移は以下のようになっています.
売上高は増加傾向にあります.極めて順調に増加していますね.この増加は基本的には即席麺の販売増に支えられています.即席麺の健康志向及びラインナップ拡充や広告強化が効果的に作用しています.
また,営業利益率は10%以上で安定して推移しており,事業の安定性の高さが伺えます.即席麺を世界初で開発したブランド力はやはり高く,売値を業界平均よりも高く設定することができ,高い営業利益率を維持しています.
(2018年3月期 決算補足資料より)
また,国内シェアは勿論1位です.その国内シェアは39.7%に及びます.(なお,日清食品はシェアや販売数量を公開していないので,(日清食品の売上高)/(日本の即席麺総生産額)で暫定した値となっています.)
ただし,国内の即席麺の市場規模は,人口減少も伴って頭打ち気味の気配があり,今後の売上増はシェアを拡大せざるを得ず,厳しい戦いが予想されます.なお,世界の即席麺需要は2013年でピークアウトしています.これは人口減少というよりもデリバリーサービスの拡充によって即席麺がその立場を徐々に奪われているからと推測されています.
明星食品
国内向けの即席麺等を取り扱っています.主要ブランドとしては,「チャルメラ」,「一平ちゃん」「評判屋」等があり,2006年に日清グループ入りしました.外資系企業に買収されそうになっていた際に,日清食品がホワイトナイトとして登場し,友好的TOBを行いました.即席麺のシェアを向上するという目的もあったと思われますが,明星食品を救うという意味合いが強い買収だったと思われます.
明星食品の売上高・営業利益率推移は以下のようになっています.
売上高は横ばいであり,営業利益率は低下傾向にあります.これは日清食品の章においても上記しましたが,国内の即席麺の市場規模は,人口減少も伴って頭打ち気味にあることに由来します.明星食品は海外展開をほぼ行っていないため,その市場は日本国内に限定されます.
したがって,売上高を伸ばすためには国内シェアを上げるしかありませんが,それは同時に日清食品のシェアを奪うことになりかねません.大変難しい立ち位置に置かれているといえるでしょう.なお,明星食品のシェアはおよそ10%前後であり,日清食品と合わせると国内シェアは50%前後です.シェアを向上させることがいかに難しいかがわかります.
また,ブランド的にも老舗の印象が強く,その主購買層が高齢化していることも問題点として挙げられます.若年層に対して,明星食品の即席めんが訴求力があるとは考え辛く,新規のブランド開発が求められます.
低温事業
日清食品チルド株式会社,日清食品冷凍株式会社が低温事業にあたります.主要ブランドとしては,「もちっと生パスタ」「行列のできる店のラーメン」「日清のラーメン屋さん」等が存在します.
低温事業の売上高・営業利益率推移は以下のようになっています.
売上高は増加傾向にあります.この寄与は日清食品チルドよりも,日清食品冷凍のほうが大きいです.近年の共働きの増加や単身世帯が増加するにつれて,長期間保存可能かつ簡単に調理できる冷凍食品が注目を集めていることに由来しています.
営業利益率は2015年に底を打った形となり,現在ではV字回復を遂げています.2015年は「もちっと生パスタ」においてゴキブリが混入しているとして,出荷分を回収したことで大きく利益を押し下げました.その後は企業努力でブランドイメージが回復し,また,物流の見直しや原料価格の増加が止まったことで,現在の営業利益率を到達できるまでに回復しました.
海外事業
日清食品の海外事業全般です.地域ごとに決算が報告されています.なお,販売されている主要ブランドは「CUP NOODLE」「合味道」(中国版のカップヌードル)「出前一丁」などです.
米州地域
売上高は増加傾向にあります.これは主にアメリカ,ブラジルにおけるリニューアルしたCUP NOODLEが好調に推移したためとされています.
営業利益率は近年は増加傾向にあります.2012年に大きく営業利益率が低下していますが,これは為替の影響に依るもので,当時記録的な円高が記録されています.その後は為替が安定したこと,高価格帯のCUPNOODLEを提供できたことにより徐々に改善している段階となっています.
中国地域
売上高は増加傾向,営業利益率は横ばいとなっています.売上の増加は主に販売エリアを拡大していることが理由として挙げられます.新規の販売エリアにおいても順調に購入されるブランド力を今まで築けてきた成果と言うことも可能でしょう.この調子で販売エリア拡大及び高価格商品帯に移行することができれば,盤石な基盤を得られると推測されます.
なお,中国の即席めん市場は世界最大であり,2018年にようやく底を打ち,再度上昇する基調を見せています.ここでしっかり上記の対策を取ることができるかで,日清食品が飛躍するかどうかは決まりそうです.
日清食品の強み・弱み
日清食品の強み
- 世界における圧倒的なブランド力
世界で初めて即席めんを開発したブランド力は絶大であり,「CUP NOODLE」は世界に浸透しています.このブランド力によって高い利益率を出すことができ,まさに日清が有する最大の財産と言えます.
- 日本におけるシェアの高さ
明星食品を加えたことによって,日清食品グループの即席めん市場におけるシェアは約50%に到達しています.
- 菓子事業が案外強い
「ごろっとグラノーラ」などを展開しています.
日清食品の弱み
食品メーカーの中では超優良企業なので,強いて上げる程度でしか目立った弱みがないです.
- 海外売上比率の低さ
国内の食品メーカーの中では,トップクラスの海外売上比率23.7%を誇っているものの,まだまだ国内比率が高いのが現状です.食品業界全体に言えることですが,今後国内の市場は確実に減少していくので,一刻も早い海外展開が必要となってくるでしょう.
- 中国・アメリカ以外の地域における販売不振
投資段階であるので仕方がありませんが,中国を除くアジア地域では赤字であり,ブランドが浸透しきっていません.この巨大な市場にいかに切り込んでいくかが今後の大きな課題となっています.
(就職する側としては,未開拓領域ですので一番やりがいがある地域かもしれません)
日清食品の今後
中期経営計画から見る今後の施策
- ブランドを生かした高価格帯カップヌードル展開
- BRICs地域への経営資源の集中
- 菓子・シリアル事業(日清シスコ)を第2の収益柱(1000億円規模)に成長させていく
- 国内における生産の最効率化
- 明星食品における新ブランド立ち上げ
などを行っていくようです.
キーポイント
- BRICs地域への経営資源の集中
一番力を入れてやっていくべきはやはりここでしょう.今後も成長が見込まれる市場において,地位を確立できるかにかかっています.
日清食品は就職先としてあり?なし?
- 勤務地
本社→東京,大阪
営業所→全国各地
工場→茨城,静岡,滋賀,山口
研究所→東京都八王子
日清食品では4コースに分かれて募集されてますが,
ブランド・クリエーションコース→本社
ビジネス・イノベーションコース→本社・営業所
R&Dコース→研究所
生産技術コース→工場
- 将来性
将来性は非常に高いと言えます.食品は良くも悪くも安定産業であり,市場規模や趣向が劇的という変化することはまずありません.日本国内の即席麺事業において圧倒的な1位を築いているという事実は,日清の安定的な成長を今後も支えていきます.また,世界初の即席麺を開発したというブランド力を有しており,海外展開も簡単ではないにしろ,難しいものではありません.今後も中国・ブラジル・東南アジアを中心に売上高を伸ばしていくと思われます.課題を挙げれば,即席麺がデリバリーサービスの拡充によって市場規模が減少する可能性があることです.ただ,デリバリーとの価格差を考えればそこまで大きな影響を受けるとは考え辛く,考慮する必要が出るほど売り上げが出てくるのは当分先になると推測されます.
- 年収
796万円
30才で500~600万程度
食品に携わりたい方にはありかと思います.食品メーカーでは最優良企業と言ってもよいでしょう.食品メーカー希望であれば,とりあえず出していくことをお勧めします.
以上ご参考になれば.
他の企業はこちらから.
www.atoq.tokyo