シャープ株式会社
台湾企業「鴻海」の参加になったSHARPですが,経営状況はどうなったのでしょうか?
就職先としてありなのかなしなのか見ていきましょう!
シャープとは?
創業:1912年
売上高:2兆4272億円(連結)
従業員数:52,548人(連結)
本社:大阪府
勤務地
一つの事業でも複数地域にまたがっており非常に分かりにくいので,自分の行きたい部署の勤務地がどこになるのか事前にしっかり確認するようにしましょう.
大まかには
液晶→三重県亀山,三重県多気郡,栃木県矢坂氏,奈良県天理
ビジネスソリューション→奈良県大和郡
電池・エネルギー関連→奈良県葛城
家電→大阪八尾
センサ関連→広島県福山
スマホ・タブレット等→広島県東広島
となっていますね.こういう配属先が分かりにくい書き方してる企業って個人的に嫌いです.
どこにいっても田舎です.これは覚悟しておいてください.
事業情報
以下のグラフは特記していない限り「アニュアルレポート 2017」より引用しています.
シャープの売上高・営業利益推移は以下のようになっています.
売上高は近年低下傾向にありますね.これは液晶事業の不振にともなって売上高が減少していること,また,鴻海傘下に入って以来経営合理化を行っているためです.
営業利益はしばらく赤字が続くと予想されていましたが,鴻海傘下に入ったことによって,黒字に転換しています.鴻海社長の営業手腕のすごさが分かりますね.
また,それぞれのセグメントごとの情報は次のようになっています.
売上高ではディスプレイデバイス事業が40%を占めていますが,営業利益ではたったの4%しかありません.ディスプレイ事業が現状のままでは如何に利益を生み出せない事業かわかります.一方で,利益が大きいのは健康・環境システムやビジネスソリューションです.シャープの家電事業は思った以上に高利益を保っており,10%もあることが判明しました.
また,純利益の推移は以下のようになっています.
13年に液晶で大赤字を出してから,ほぼ常に赤字が続いています.続いての目標はここをプラスに転換していくことでしょう.
鴻海傘下になったことで今まであったセグメント区分を変更し,シャープは以下のような事業に再編を行いました.
- スマートホーム
家電やスマートフォン,ソーラーシステム,その他スマートシステムで家のスマート化に関わる事業領域.
- スマートビジネスソリューション
プリンタやサイネージ,リテール商品や工場の無人運転ロボなどオフィスや工場でのスマート化を推進する事業.
- IoTエレクトロデバイス
CMOSセンサや8Kストレージ,レーザデバイスなどの電子機器を取り扱う事業
- アドバンスディスプレイシステム
8Kディスプレイや液晶,車載,医療など多くは液晶と関連する事業
シャープの強み
- 8K事業
シャープの液晶は利益が出ていないものの,その液晶技術自体は業界でもトップクラスです.薄利多売競争では新興国で適わないため,高い技術をもった商品で差別化を図っていく&規模を適切な大きさに調節することができれば,シャープの液晶事業はまだまだ利益を稼ぎ出せます.特に8Kは今後徐々にではあるものの普及していくことが見込まれており,ここで先駆的な立場を気付く価値は大きいです.
- デバイスレベルでの強さ
シャープは商売は下手ですが,その技術レベルは非常に高いです.鴻海社長の経営手腕と合わされば,今後利益を上げていくことができると考えられます.
- 鴻海グループの販売網・生産力を利用できる
鴻海グループは売上高15兆円で,EMS(電子機器受託生産サービス)でのし上がった企業です.鴻海グループとのシナジーは非常に良く,例えば海外への生産移転を行うことによってコストカットを行っていくことも可能です.
- 住宅用太陽光発電の発電量シェア1位
住宅向けの太陽光発電に限ってはシャープはシェア1位を獲得しています.
*1
- AQUOSフォンが国内シェア2位に
国内で一番使用されているスマートフォンはiphoneだとすぐにわかりますが,では2位は?と聞かれてすぐ答えられる人は少ないと思います.ソニーと答える人が印象的に多いかなと思いますが,実は今年ついにシャープがソニーを抜いて国内シェア2位に踊りできました.
また,つい最近に有機ELを搭載したスマートフォンを発売しましたね.国内シェア40%を狙っていくそうです.
シャープの弱み
- 人材難
シャープは12年から長期的な不況に陥っており,その間に優秀な人材が他の企業に引き抜かれました.今後また優秀な層が集まるようにブランドイメージの向上と社内環境の整備が必要になってくるでしょう.
- 8Kに力を入れすぎている
正直,8Kがそんなに流行るとは思えない.8Kに傾倒しすぎるのは二の舞になりかねない.
シャープの今後
中期経営計画から見る今後の施策
- スマートホーム事業:5506億円(2016年度)→1兆円以上(2019年度)
- スマートビジネスソリューション:3177億円(2016年度)→4500億円以上(2019年度)
- IoTエレクトロデバイス:4136億円(2016年度)→8000億円以上(2019年度)
- アドバンスディスプレイシステム:8420億円(2016年度)→1兆円以上(2019年度)
以上のような経営目標を掲げています.
キーポイント
- スマートホーム事業
計画からも分かるように,シャープはスマートホーム事業が急成長すると見込んでいます.元々利益率の高い家電事業であることに加えて,ホームとIoTは非常に組み合わせやすい分野です.シャープはすでにIoTを意識した製品をいくつか(ロボホンなど)出しており,今後の市場の普及具合によってはこの売り上げを達成することは難しくないと思います.
- 8K+AIoT
シャープの新しい宣伝文句ですが,8K+AIoTを武器として世界と戦っていくというスローガンを掲げています.8Kを実現できる技術はありますので,AIとIoTをいかに利用していくかが重要になってきます.
シャープは就職先としてあり?なし?
- 勤務地
液晶→三重県亀山,三重県多気郡,栃木県矢坂氏,奈良県天理
ビジネスソリューション→奈良県大和郡
電池・エネルギー関連→奈良県葛城
家電→大阪八尾
センサ関連→広島県福山
スマホ・タブレット等→広島県東広島
- 将来性
今が底だと思われます.鴻海傘下だというのが気に食わなければ全然ありかなと.
- 年収
大手電機メーカーの中では低め.ただし,鴻海傘下(外資)になったことで給与体系が変わって上昇する可能性がある.
- その他
かなり能力主義な風潮に変わってきているようです.
田舎に抵抗がなく,家電事業(スマートホーム)に興味がある方にはありかと思います.
以上ご参考になれば.
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*1:「2016年住宅用太陽光発電メーカーシェアランキングが発表!昨年に引き続きパナソニック、シャープが人気」より