ソフトバンク株式会社
SoftBank Corp.
3大キャリアの中で最も勢いのあるソフトバンク
就職先としてありなのかなしなのか見ていきましょう!
ソフトバンクとは?
創業:1986年
売上高:9兆1588億円
従業員数:17200人(連結)
本社:東京都港区
勤務地
総合職→全国転勤あり.エンジニアは東京の確率が極めて高い.
アソシエイト→全国転勤無し.各主要都市から選択.
販売職⇒主要都市(北海道,東北,関東・上信越,東海・北陸,関西,中国・四国,九州)から選択.ブロック内転勤あり.
事業情報
以下のグラフは特記していない限り「アニュアルレポート 2018」より引用しています.
(エクセルは資料に基づき作製したオリジナルです.)
ソフトバンクの売上高・営業利益推移は以下のようになっています.
売上高は近年は増加傾向にあります.抱えている事業がそれぞれ順調に売り上げを伸ばしているためです.また,2013年に一気に売上高が増加しているのが特徴です.これはアメリカ携帯会社大手(業界4位)の「スプリント」を買収したことが主要因として挙げられます.なお,2018年4月にスプリントをアメリカ3位のTモバイルに合併することを決定し,連結子会社ではなく持分法適用会社となる見込みです.
営業利益も近年は増加傾向にあります.スプリントを買収した際に大きく営業利益率は下げていますが,それでも安定して10%以上の営業利益率を有しており,極めて安定的な経営を行っています.
また,純利益の推移は以下のようになっています.
基本的に増加傾向にあります.2016年に大幅に増加したのはスーパーセル事業売却によって5265億円,アリババ売却によって7964億円取得したことが主要因です.
ソフトバンクは以下のような事業を行っており,その構成比は以下のようになっています.
国内通信事業及びスプリント事業が大半を占めていることが分かります.
各事業詳細
国内通信事業
ソフトバンクのイメージそのものですね.日本国内における移動通信サービスの提供や携帯端末の販売,法人に対する固定電話やデータ通信サービスを取り扱っています.主要子会社は「ソフトバンク株式会社」「Wireless City Planning株式会社」(モバイルブロードバンド通信サービスの企画・提供),「ソフトバンク・ペイメント・サービス株式会社」(決済サービスの提供)になります.売上高は増加傾向にあります.これはスマホ販売やブロードバンド契約が順調に増加したことによるものです.
安定してスマホ台数が純増していますね.一方で特徴としては,近年はMVNOであるYmobileの比率が高くなってきており,ソフトバンク自体は勢いを落としています.また,営業利益率に関しては安定して20%以上あり,かなりの高利益体質と言えます.日本の通信費用が高いと噂されていますが,この営業利益率を見れば納得できる値ですね.下記の北米の通信事業であるスプリントが営業利益率が5%前後であることを考えると,政府指導が入りさすがに10%前後に落ち着くレベルになるのではないでしょうか.いずれにしろ,国内通信事業は成熟期に入っていますので,爆発的な成長は望めませんが,世の中のIT化に伴って着実に業績は伸びていくでしょう.
スプリント事業
米国の通信大手であるスプリントによって,移動通信サービスや携帯端末の販売やリースなどを取り扱っています.現在は米国4位の通信事業者であり,2019年に第3位のTモバイルと合併し,北米は3強の一角を成すことになります.持分が27.4%ですので,子会社ではなくなりますね.売上高が低下傾向にあり,営業利益率も5%以下と低調な動きをしています.それもそのはずで,ドルベースの業績では過去11年ほど連続して赤字を計上しており,スプリントはかなり不調に陥っていました.それを今期はなんとか黒字化に成功し,ようやく復調させてきたという段階です.今までの赤字要因がなくなるので,ソフトバンクとしては今後がかなり期待できることになります.
ヤフー事業
ヤフージャパンですね.ヤフージャパンの株式の36.4%を取得しており,筆頭株主となっています.ヤフージャパンに関してはこちらの記事をご参照ください.
【ヤフーの今後と将来性】サービス総合力で一点突破企業に打ち勝てるか【企業分析】 – AtoQ
流通事業
携帯端末の流通や携帯端末アクセサリー,周辺機器の販売を行っています.海外は「ブライトスター」,国内は「ソフトバンクコマース&サービス」が担当しています.売上高は基本的に横ばいであり,営業利益率はマイナスとなることが多いです.これは流通事業は利益を出す事業ではなく,他事業の付加価値サービスの提供を主目的としていますので,いかに赤字を抑えるかが焦点となっています.
アーム事業
アームがマイクロプロセッサーに関わるIP及び関連テクノロジーのデザイン・ソフトウェアツールを取り扱っています.2016年9月にアームを買収しました.アームは半導体のIP(回路の設計情報などの知的財産)のライセンス事業を行う企業です.営業利益率も10%前後と高い値で推移しており,安定した業績を上げています.今後のIoTの進展による半導体需要急増に備えて,先行投資をしている段階です.
ソフトバンクの強み・弱み
ソフトバンクの強み
- 他事業に取り組んでいる
ドコモやKDDIは国内通信事業のみですが,ソフトバンクは国内通信事業に限らず,ヤフーのインターネットサービスや北米の通信事業,半導体まで幅広く事業を行っています.また近年では投資事業を積極的に行っており,上記していない事業でもかなり投資が進んでいます.例えばインドではEコマースや決済サービスが非常に伸びており,世界的にはライドシェアサービスにかなり強みを有しています.北米ライドシェア大手Uberやアジア(中国除く)大手のグラブの筆頭株主ですし,中国大手のDiDiも割合は分かりませんが,一定の議決権を有しています.
- 海外売上比率が高い
海外売上比率は51.4%となっており,他の通信事業者より高いです.
- 国内事業の安定性と高い営業利益率
国内事業は非常に安定して推移しており,各種事業への投資の基盤となっています.3大キャリアの中では第3位と最低ですが,それでも20%以上のシェアを占めており,寡占の恩恵を存分に享受しています.近年はMVNO事業者が伸びてきてはいますが,その中にはY!mobileが含まれているので,今後もシェア率では大して変わりはないでしょう.
- 新規事業への取り組みの積極性
ロボットやライドシェアなど,新規事業に最も積極的に投資しているのがソフトバンクという企業です.他の日本企業にはない決断力がある印象です.
ソフトバンクの弱み
- 国内通信事業のシェアが伸び悩み
一時は2大キャリアを猛追していましたが,近年はシェアを伸ばせておらず停滞しています.もう国内でこれ以上シェアを伸ばす気はないのかもしれませんが,いつまでもドコモ一強の時代が続いています.ましてや国内通信事業の売り上げはもはや携帯通信事業は横ばい,あるいは下降局面に入っており,ブロードバンドが売り上げを牽引している状態です.
- スプリントの業績不透明感
スプリントはTモバイルと合併しますが,合併したシナジーをしっかりと活かしていけるかは未だ不透明です.スプリント単体では業績は常に低迷しており,果たして合併しただけで大幅に改善していけるのかには疑問符が残ります.
- 自己資本比率の低さ
積極的な投資を見せている一方で,自己資本比率が圧倒的に低いです.業績が悪化したときは悲惨なことになりますが,逆に業績を悪化させない強い意志の表れでもあります.
ソフトバンクの今後
ソフトバンクの施策
- スプリント・Tモバイル統合会社による400億ドルの5G設備投資
- bostonDynamicとの協業による建設業界への乗り出し
- 他事業への積極投資.特にライドシェア
- armへの先行投資加速
などを行っていくようですね.
キーポイント
- スプリント・Tモバイル統合会社による400億ドルの5G設備投資
今後5年で急速に5G通信へ変化することは間違いなく,北米での地位を安定させるためには5G技術を何としても確立させるしかありません.ここでの5G技術は日本へも応用が効くので,積極的に開発を行っていくべきでしょう.
ソフトバンクは就職先としてあり?なし?
- 勤務地
総合職→全国転勤あり.エンジニアは東京の確率が極めて高い.
アソシエイト→全国転勤無し.各主要都市から選択.
販売職⇒主要都市(北海道,東北,関東・上信越,東海・北陸,関西,中国・四国,九州)から選択.ブロック内転勤あり.
- 将来性
将来性はかなり高いと考えられます.国内通信事業は成熟期を迎えているといっても3強の状況が今後変化するとは考えにくく,安定した収益基盤を築いています.また,北米市場でも3強の一員となったことや他事業へ積極投資していることから,今後の成長余地はドコモやKDDIよりも多いと考えられます.ライドシェア,armの売り上げが今後10年でかなり伸びてくると思われ,国内の売上比率は30%以下まで低下するでしょう.今後人口減で日本の市場が期待できない中,早期にグローバルに展開し始めている経営能力は評価されるべきです.
- 年収
784万円
国内通信事業だけではなく,その他の事業にも積極的に挑戦していきたい方にはありかと思います.
国内通信事業に限って取り組みたいのであればソフトバンクはお勧めできませんが,通信という大きな枠で見て様々な分野で活躍したいのであればソフトバンクは一考の価値ありです.今後も幅広い事業に投資を行っていくことが考えられ,自社社員も一定数その事業体へ出向することが考えられます.個人的にはライドシェアが自動運転に伴って興隆しそうでおすすめですね.いきなりUberやDiDiなど外資に飛び込むのはいやだが,国内企業の安定した中なら取り組んでみたいという方にはもってこいではないでしょうか.
以上ご参考になれば.
【docomo softbank au徹底比較】業績比較とそれぞれの強み・弱みは?
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