サントリーホールディングス株式会社
「やってみなはれ」という社訓が有名な関西系企業のサントリー
就職先としてありなのかなしなのか見ていきましょう!
サントリーとは?
創業:1899年
売上高:2兆4203億円
従業員数:37,745人
本社:大阪
実は非上場企業です.
(非上場企業は情報がまとめにくいのでイヤ・・・)
勤務地
関西系の企業だと言っても,勤務地は全国各地になります.
募集要項では,ビジネス部門,財経部門,デジタルテクノロジー部門,生産研究部門に分かれています.
ビジネス部門→全国各地
財経部門→本社及び主要支社
デジタルテクノロジー部門→本社
生産研究部門→研究所(京都か東京),工場(全国各地)
といった具合かと思われます.
事業情報
以下のグラフは特記していない限り「サントリーグループ会社案内PDF」より引用しています.
(エクセルは資料に基づき作製したオリジナルです.)
サントリーの売上・営業利益推移は以下のようになっています.
(2016年で日本会計基準から国際会計基準へ変更されていますので,2016年は日本会計基準と国際会計基準の両方を記載しています.)
売上高は増加傾向にありますね.なんでしょう,サントリーって優良企業だと思ってはいましたが,ここまで順調に売上高を伸ばしてきているとは驚きです.リーマンショック時にも売上を落としておらず,優れた経営手腕があることが伺えます.2014年に売上高が4000億円程度急増していますが,これは既存事業が好調に推移したことに加えてスプリッツに強みを持つビーム社を買収したことに由来します(この結果,世界第3位のプレミアムスプリッツメーカーになりました).
営業利益も増加傾向にありますね.また,営業利益率も改善され10%を超えを達成しています.安定した収益基盤を築けてきたことが伺えます.
サントリーは以下のような事業を行っており,その売上構成比は以下のようになっています.
サントリーは酒類よりも飲料食品が強く,飲料・食品で過半の57%を占めています.
各事業詳細
飲料・食品事業
(2016年が2つ表示されていますが,2016年以前が日本会計基準,2016年以降が国際会計基準となっているので両方表示しています.以下の2事業についても同様)
清涼飲料や健康飲料,加工食品などを取り扱っています.サントリー食品インターナショナル株式会社がこの事業にあたります.なお,サントリー食品インターナショナル株式会社は上場しています.サントリー食品インターナショナル株式会社の子会社として,「サントリーフーズ」「ジャパンビバレッジホールディングス」等が存在しています.
業績に関しては5期連続の増収増益で絶好調です.この要因としては,2016年までは国内市場が牽引し,2016年以降は海外市場が拡大してきたことが挙げられます.国内市場では特に「南アルプスの天然水」「BOSS」「伊右衛門」が成長を下支えしています.下図が主力商品です.
*1
国内の清涼飲料市場シェアは21%で2位(1位はコカ・コーラ)であり,世界では売上高規模で3位に位置付けています.
海外市場に関しては,海外売上比率が40%に達し,日本56%,ヨーロッパ19%,アジア14%,オセアニア3%,アメリカ7%と満遍なく海外展開を行っています.アジアが一番の成長分野と位置付けられています.アジアでは以下のような商品が展開されています.
*2
酒類
スピリッツ,ビール類,ワイン等を取り扱っています.「サントリーBWS株式会社」,「ビームサントリー」がこの事業にあたります.サントリーBWS株式会社の子会社として,「サントリービール株式会社」,「サントリーワインインターナショナル株式会社」等が存在しています.
酒類業界全体についての詳細については下記を参照してください.
https://www.atoq.tokyo/entry/drink-kongo
概説すれば,国内における酒類販売は減少傾向にあり,内訳としてはビール,発泡酒,新ジャンルが減少,RTDのみ増加となっています.したがって,市場の将来性自体は良いとは言えません.また,新たな動向として酒税法が改正され,ビール,発泡酒,新ジャンルの税率が2026年に統一されます.結果として現状との比較でビール→減税,発泡酒・新ジャンル→増税となり,酒類販売業者は利益率の高いビール回帰を見込んでいます.
業績に関しては増加傾向にあります.また,ビームを買収したシナジー効果が徐々に出始め,営業利益率は非常に高い水準に達しています.近年の成長はビーム社を利用した海外販路の拡大による所が大きいです.主力製品は下図です.
*3
ビール類シェアは16.0%となっています.業界全体として国内市場は厳しい環境が続いている中,サントリーは徐々にシェアを伸ばしています.
その他
健康食品,アイスクリーム,外食,花,中国事業などを取り扱っています.「サントリーウェルネス」「サントリーコミュニケーションズ」等が子会社として存在しています.
業績に関しては,売上高は減少傾向,営業利益率は増加傾向にありますね.細々した事業の集合体ですので,特に規模を求めて経営しているわけではないと思われます.
サントリーの強み・弱み
サントリーの強み
- 清涼飲料市場,国内2位,世界3位
清涼飲料市場に圧倒的な強みを有しています.南アルプスの天然水や伊右衛門,BOSSなど強力なブランドを複数有しており,安定した収益基盤となっています.国内1位はコカ・コーラですので,日系企業ではNo.1ということになりますね.
- ビール類市場シェア16.0%,3位
年々サントリーのビール類市場シェアは拡大しており,現在は16%,3位に位置しています.特にプレミアムモルツが主力となっていますね.
- 海外売上比率の高さ
海外売上比率は40%超となっており,非常に高い水準を有しています.キリンが20%超程度です.海外進出に最も成功している清涼飲料・酒類メーカーと言えるでしょう.その進出先も米国,欧州,アジア・オセアニアがそれぞれ13%程度で分散されており,一辺倒にならない安定性を備えています.今後はビーム社買収のシナジー効果が表れてくる頃合いであり,さらに米州での売り上げが伸びてくると考えられます.
- 成長性の高さ
上記した売上高・営業利益のグラフを見れば分かりますが,売上高・営業利益ともここ10年は伸び続けています.アサヒやキリンが伸び悩んでいる中,ここまで順調に業績を伸ばしてきている企業の勢いは賞賛に値します.
- 上場していない
サントリーは非上場企業ですので,一般株主への配慮を行う必要がありません.そのため,短期で成果が挙がる経営方針だけではなく,中長期的な視点にたって経営戦略を練ることが可能です.
サントリーの弱み
- ビール類の(相対的)弱さ
市場シェアとして16.0%を有しているものの,まだまだアサヒとキリンの2強が続いています.
- その他事業のまとまりのなさ
近年その他事業は売り上げを落としてきています.サントリーブランドは絶大な威力がありますので,そのブランド力を活かして他事業に展開するのは良いと思いますが,あまりにも手広くやりすぎだと感じます.もう少し事業を絞って集中投資したほうが良い結果が得られるはずです.まぁこれも短期的な成長を目的とした視点ですので,サントリーらしく中長期的な視点で辛抱強くやっていくのも「サントリーらしさ」があって好印象ではあります
サントリーの今後
今後の施策
飲料・食品事業
- サントリー食品インターナショナルは2030年に2.5兆円を目指す
- 日本→重点ブランドの強化
- 欧州→低糖商品の強化
- アジア→重点ブランド(「TEA+」「MYTEA」など)の強化&新規事業開拓
- 米州→炭酸カテゴリー盛り返し&非炭酸カテゴリーへの投資
酒類事業
- 「ザ・プレミアム・モルツ」を核としたシェア向上による成長
- 「ジムビーム」「メーカーズマーク」など日本に浸透していない商品のマーケティング強化
- ストロング系の充実
その他事業
- サントリーウェルネスに最も注力
- 次点で,ダイナック,プロントコーポレーションに注力する
などを行っていくようです.
キーポイント
- 「ジムビーム」「メーカーズマーク」など日本に浸透していない商品のマーケティング強化
日本ではあまりスピリッツ系のお酒は馴染みが深くなく,これらの商品は一般家庭にあまり浸透してきませんでした.広報・宣伝を得意とするサントリーによって,買収したジムビームなどの商品をどこまで普及させることができるかは注目すべきポイントです.
サントリーは就職先としてあり?なし?
- 勤務地
募集要項では,ビジネス部門,財経部門,デジタルテクノロジー部門,生産研究部門に分かれています.
ビジネス部門→全国各地
財経部門→本社及び主要支社
デジタルテクノロジー部門→本社
生産研究部門→研究所(京都か東京),工場(全国各地)
- 将来性
将来性は飲料・酒類メーカーの中では最も高いです.今まで成長してきた勢いが他社にないものであり,今後も成長が期待できます.事実ベースでは,最も海外進出に成功している企業であり,減少傾向にある日本市場に頼らないポートフォリオを形成できています.特にアジアは今後最も成長する市場として予想されています.日本市場でこれ以上のシェアを拡大できるかは不透明ですが,世界全体で見た場合には確実に規模を拡大していくでしょう.
- 年収
ここもホールディングスでしか有価証券報告書を出していないので正確な値は分かりません.
30で700~800万程度だそうです.
飲料・酒類メーカー比較で言えば
この業界を狙う方で,他のブランドに拘りがない方にはありかと思います.
この業界では一番将来性があるので,他ブランドに強い思い入れがない限り,ここを第一志望として良いと思います.「やってみなはれ」という精神のもと,社員の充実度も非常に高いと評判です.
以上ご参考になれば.
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www.atoq.tokyo