株式会社東芝.
不正会計で一気に凋落した東芝ですが,これからどうなっていくのでしょうか.
就職先としてありなのかなしなのか見ていきましょう!
東芝とは?
創業:1875年
売上高:3兆9476億円
従業員数:141,256人(連結)
本社:東京
勤務地
勤務地情報は以下のようになっています.
本社→浜松町,川崎
研究所→神奈川県川崎・横浜
工場→神奈川県川崎・横浜,東京都府中,兵庫県姫路,埼玉県深谷市
総合メーカーにしてはかなり良い立地に勤務地がありますね.ど田舎にいくことはなさそうです.
事業情報
以下のグラフは特記していない限り「アニュアルレポート 2017」より引用しています.
東芝メモリが売却されたのは2018年6月ですので,このアニュアルレポートには最新情報が含まれていないことに注意してください.まだ内部でゴタゴタしているせいなのか2017年4月~2018年3月までのアニュアルレポート2018が発表されていません.
東芝の売上高・営業利益・純利益推移は以下のようになっています.(18年度は予想業績).なかったので作製しました.
売上高は低下傾向にあります.というのも,16,17,18で次々と不正会計に伴う不祥事や原発の巨額損失に対応して,東芝メディカルやランディスギア,東芝メモリを次々に売却したためです.ただ,これ以上大きく減っていくことはないと思われます.
営業利益に関しては,15年度に大幅な赤字となっていますが,これは全部門的に売上不振による一時損失や原発事業の巨額損失が発生したためです.16年度に一転して好転したのは,前年度に一時損失は全て計上していることに加えて,全部門的に構造改革が進んだ結果と言われています.よって,17,18年度の営業利益が今後の東芝が稼ぎ出すコンスタントな数字でしょう.ここでは東芝メモリは持ち株分法が適応されており,売却後として計算されています.今まで東芝の営業利益の9割を稼ぎ出していたといわれる東芝メモリがいなくなったため,営業利益率は1.5~2.0%とかなり厳しい数字となっています.(メーカーの平均は5%)
純損益に関しては,16年度に原発事業の巨額損失で大幅な赤字となっています.しかし,一転して原発事業関連の売却は東芝メモリの売却によって莫大な純利益をたたき出しています.ここで得た金をどう使うかで未来が変わっていきそうです.
東芝は社内カンパニー制から,完全に独立した分社会社制へと移行し,事業内容は以下のようになっています.
- 東芝エネルギーシステムズ株式会社
・原子力発電システム ・火力発電システム ・水力発電システム ・発電 ・電力流通システム ・太陽光発電システム
- 東芝インフラシステムズ
・上下水道システム ・環境システム ・放送システム ・道路システム ・電波機器 ・駅自動化機器 ・ビルファシリティ ・エレベーター ・エスカレーター ・一般照明 ・産業光源 ・業務用空調機器 ・コンプレッサー ・交通機器 ・計装制御システム ・産業システム
- 東芝デバイス&ストレージ株式会社
・小信号デバイス ・パワー半導体 ・ロジックLSI ・ミックスドシグナルIC ・イメージセンサ ・NAND型フラッシュメモリ ・記憶装置 ・半導体製造装置
- 東芝デジタルソリューションズ株式会社
・ITソリューションサービス
東芝メモリや東芝メディカルを売却したため,かなりインフラ色が強くなりましたね.
東芝の強み
- インフラ関係での安定した稼ぎ
これが今のところ一番の強みでしょう.なんだかんだ今まで培ってきたノウハウや実績からインフラ関係に関しては絶大な強さを有しています.
地熱発電のシェアは世界トップで23%もあるそうです.福島原子力発電所の廃炉作業でも安定した収益が見込めます.
エレベータ―事業も好調なようです.
インフラ関係が売上高の50%を占めています.
- HDDのシェアが高い
東芝のHDDシェアは24%ほどあります.
*1
SSDの普及やPC自体の生産量減少で,HDDの生産台数は減ってきているものの,まだ出荷台数はかなり多く,相当の利益を見込めます.
- IoT/AI関連の強み
もはや強いてあげればですが,今までの巨大なプラントから極小のメモリまで様々な製品を販売してきた経験から,AI/IoTを用いて生産効率を向上させる手法を発見できる可能性は高いです.他の情報に一辺倒なAI会社よりははるかに有利であり,企業に売り込むときの強みと言えます.最もこれは日立や三菱電機,シーメンス,GEなどにも言えることで,どれほど競争力を保てるか分かりません.
- 莫大なキャッシュ
東芝メモリを売却したことによって得られた1兆円を超えるキャッシュ.これをどう使うかできっと将来が変わります.現在の事業とシナジーがありつつ,利益率の高い事業を買収できると良いですね.勿論,現在ある事業の中で,将来伸びそうなものに集中投資するのもよいと思います.
※追記2018/11/13
株主の声に負けて7000億円の自社株買いを実行しましたね.せっかく手に入れたキャッシュを成長投資に使わずに,何も生み出さない自社株買いをするなんて悪手としか思えません.株価が上がった時点で株主が売りに出して終わりでは?
東芝自身,もう世界と戦って成長していく気はないようですね.インフラ企業として細々生きていくのだと思います
東芝の弱み
- 利益を上げられる事業がいない
インフラ関係は大きな利益を上げられるような事業ではなく,他の事業も現在の状況を鑑みるに大きな利益を上げられるように化けるまでは少なくない時間がかかりそうです.やはり東芝メディカルや東芝メモリを売却した影響は大きすぎる.
東芝の今後
中期経営計画から見る今後の施策
東芝 投資家情報(IR):東芝の戦略(具体的施策)
こちらに書かれていますが,いまいち要領を得ないというかなんというか.
とりあえず,デジタルトランスフォーメーション戦略統括部を設立して,AIに全力を出していくようです.
また,そのためにまず売却問題でごたついた社内の体制を整えにかかります.
キーポイント
特色のあるAI事業を創出できるか.これにかかっていると思います.競合が多すぎるのは事実ですが,腐っても東芝です.経営不正が発覚するまでは就職したいランキングでもいつも上位に位置しており,優秀な人材が大量にいます.方向性さえ間違えなければ他の企業にも打倒できるビジネスを建てられるはずです.
東芝は就職先としてあり?なし?
- 勤務地
本社→浜松町,川崎
研究所→神奈川県川崎・横浜
工場→神奈川県川崎・横浜,東京都府中,兵庫県姫路,埼玉県深谷市
- 将来性
もう潰れる心配はないでしょう.インフラ関係に強いので,良くも悪くも安定しています.周りが好景気の時にあまり波に乗り切れない不安はありますが,波風の立たない落ち着いた感じでやっていけると思います.
- 年収
現状ではもうボーナスカットは終わったようで元の水準に戻っています.大手電機メーカーと同程度の年収は変わらず貰っていけるのではないでしょうか.
- その他
就活生みんなが敬遠しているのでねらい目.
安定を求めたく,周りの目が気にならない方にはありかと思います.
正直潰れるとは思いませんので,世間体で大丈夫なのであれば全然受ける価値はあります.
以上ご参考になれば.
電機業界徹底比較!大手8社それぞれの強み・弱みと将来性は?
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www.atoq.tokyo
*1:福田昭のセミコン業界最前線 「2017年のHDD出荷台数は4億台で3年連続のマイナス成長」より